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僕のお皿が空になった頃、2人は部屋に戻ってきた。
呆れた顔の榊原さんと笑顔の虎徹さんだ。
「愛生。龍、許してくれるってさ。」
「ホントですか!?」
「…あぁ。」
「ありがとうございます!」
こっちに来た虎徹さんと僕はハイタッチをした。
虎徹さん力強い…
ハイタッチした手が少し痺れる。
「ただし、今から言う質問に答えろ。」
榊原さんが眼鏡の向こうから僕をギラっと睨む。
僕はコクコクと頷く。
榊原さんは俺の前まで歩いてくる。
少し屈んで僕に目線を合わせる。
「愛生くん、家族はいる?」
「お父さんがいます。」
「愛生くん、君の苗字は?」
「………言えません。」
苗字は言えないんだ。
だって言ってしまったらきっと僕は家に返されてしまう。
「…そうか。言えないか。」
榊原さんは残念そうな顔をした。
「榊原さん、言わないとダメ…ですか?言わないとここに入れませんか?」
榊原さんは一瞬だけ驚いた顔をしてからフッと笑った。
「そんなことないよ。ここにいていいよ。」
よかった。
榊原さんも虎徹さんと一緒でいい人なんだな。
僕はホッと息をつく。
「じゃあ、オレはもう自分の家に帰るよ。
オレの家は虎徹の横の部屋だから。
困ったことがあったらいつでも来いよ。
愛生くん、これからよろしくね。」
「はいっ!こちらこそよろしくおねがいします!」
榊原さんはニコッと笑って部屋のドアの方に歩く。
ドアを開けて部屋を出ていこうとした時、
榊原さんはこちらを向いた。
「愛生くん、オレのことは龍でいいから。またね。」
優しい笑みを浮かべて部屋を出ていく。
出ていく時に龍さんはこちらに背中を向けたまま手を挙げた。
その背中はかっこよく僕の目に残った。
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