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<ボクの秘密>
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お風呂で散々な目にあったにもかかわらず、懲りないボクは、雅樹さんの部屋に泊まりに行った。
考えてみれば、雅樹さんはボクの部屋に毎日のように来ていたが、ボクが雅樹さんのところに遊びに行くことはほとんどなかった。
「お邪魔します……」
なんだか照れくさい。
雅樹さんの部屋は、相変わらず殺風景だ。
唯一、家具とよべるのはカラーボックスだけで。3段のものを3つ繋げて置いてある。その中に、テキストや英語の辞書、ノートなど……大学で使うものと、ティッシュなどの日用品の買い置きがぎっしり詰め込まれている。入りきらないものは、上に積まれていた。
家電製品も少なく、テレビとテーブル代わりのこたつ、トースター、湯沸かしのポットくらいしかない。
こたつを挟んで、カラーボックスに向かって座る。
何気なく見ていたら、右端のカラーボックスの中段に、裸の雅樹さんと赤ちゃんの写真が飾られていることに気づく。
胡坐をかいた雅樹さんの足の上に、赤ちゃんがちょこんと座っている写真だった。もちろん赤ちゃんも裸で、可愛いおちんちんが見えていた。
「それって、雅樹さん?」
「そう。このちっこいのが、僕。可愛いだろ?」
雅樹さんは、写真立てを手に取って見せてくれる。
「えっ!?」
写真の男の人が、雅樹さんそっくりの別人だったことに驚く。
「じゃあ、これって……雅樹さんじゃないの?」
「ああ、こっち? ……これは僕の父さん」
言われてみれば、確かに違う気がする。
写真の人は雅樹さんよりも髪が長く、少し痩せているように見える。
でも、本当によく似ていた。まるで双子だ。
「僕の父さん、若いだろ? 僕が1歳くらいのときだから、父さんは22歳かな。いまの僕と同じくらいの年で父親になるなんて、信じられないよな」
「お父さんて、いくつで亡くなったの?」
「39歳。40歳の誕生日のちょっと前……」
「ボクの父さんは、32歳だった……」
「二人とも若いな。……お父さんのこと、覚えてるか?」
「ううん」
と、ボクは首を振る。
しんみりした気分になる。
気分を取りなおそうと、写真に目をやった。
「赤ちゃんの雅樹さん、可愛いね!」
ほっぺたがぷくぷくしてて、本当に可愛いらしい。
「どこ見て、言ってんだよ?」
「どこって、……ほっぺたに決まってるでしょ」
雅樹さんが何か企んでいるような笑顔を、ボクに向けてくる。
赤ちゃんの雅樹さんが、裸で写っていることを忘れてしまっていた。
「知らない!」
ボクはからかわれたのが悔しくて、しばらくの間、雅樹さんを無視し続けた。
「お前、……オナニーしたことあんの?」
雅樹さんがその恐ろしい言葉を口にしたのは、布団を並べて敷いているときだった。
「……」
質問を理解出来ないときみたいに、ボクは固まってしまう。
「なぁ、オナニーしたことがあるのか? ……って、聞いてるだろ?」
「……」
それでも、答えないでいると。
「こっち来いよ。教えてやるから……」
ボクの手を引こうとする。
「わぁー!」
ボクは雅樹さんの手を振り払うと、敷き終わったばかりの布団の1つに頭まで潜り込んだ。
「雅樹さんの意地悪! 意地悪! 意地悪!」
クスクスと笑う声がしている。
また、からかわれた。
悔しいけど、……この人には絶対にかなわない気がした。
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