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「あれ、ずっと同じ曲が流れていませんか?」
ボクもくり返し同じ曲が流れていることに気づいていたが、先に言葉にしたのは雅樹さんだった。
雅樹さんが耳を澄ましている。
ボクもいっしょになって耳を澄ます。
知紀がクラスの皆の前で、この曲を演奏したことがあった。
幻想的と言うんだろうか? とてもきれいな曲だ。
あっ、分かった!
「ドビュッシーだ!」
さっきからくり返し流れていた曲は、知紀が好きな作曲家、クロード・ドビュッシーの曲だった。
タイトルは、確か……。
「夢」
ボクの代わりに、雅樹さんが言った。
そうだ、「夢」だ。
思い出せてすっきりした……と思った瞬間、周りの景色といっしょに雅樹さんの顔がぐにゃっと歪みだした。
「全部、夢なんだ……」
雅樹さんの囁くような声がして、真っ黒な闇に吸い込まれる。
ボクの意識はそこで途切れた。
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