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可愛い義彦さん 4
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しーんっとなったこの空間が
……なれない。
義彦さんが出ていった時は、
くそなんだよとか
なんの用でいったんだろとか
義彦さんが何しにいったのか気になって
そればかり考えてたけど。
家事も終わってひと段落して
ソファーに座ってると広過ぎるこの家が
しーんと静まりかえってて途端に寂しくなる。
「あー、ほんと義彦さんがいないと
ゆっくり出来るなあっ」
ゆっくりしていると義彦さんが
もう終わったのかと尋ねてきて
じゃあ一緒に映画見ようだとか
買い物に行こうだとか
抱きついてくるだとか
……してくるのに。
目頭が熱くなるのを感じた。
義彦さんが居ないだけなのに、
出かけてるだけなのに、
泣きそうになることにビックリして焦った。
は、え?泣くなよ。
寂しくなんかないだろ俺。
すぐどうせ帰ってくるし。
てゆうか義彦さんいなくても
平気だし変わんないしベル君いるし!
ぶんぶんと首を振って
涙を流しそうになるのを我慢して
自分を誤魔化した。
それでも義彦さんはまだ帰ってきてなくて
「…いよ」
早く帰ってこいよと伝えたい相手に届くはずかない言葉が溢れてくる。
寂しさだけが募り始めて
俺の横に座ってきたベル君に
ぎゅっと抱きついた。
「くぅん……」
ベル君が寂しそうな不安そうな声で鳴いて
慰めるかのように頬を舐めてくる。
ベル君の温かさで
なんとなく眠くなってきたのが分かって
そのまま夢の中に誘われた。
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