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恋人たちの祭り 4にしおりをはさみました!
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恋人たちの祭り 4
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バレンタインデー当日、アルは大学の帰りにチョコレートとワインを受け取ると、足早に家へと向かった。
アルが夕食を作り始めてしばらくするとミカが帰ってきた。
その手には赤い薔薇の花束が抱えられている。
「ただいま、アル。今日はバレンタインデーだから、僕から愛をこめて」
毎年のことながらアルは嬉しさより照れてしまう方が強くて、頬を染めて礼を言うと両手で花束を受け取った。
「プレゼントは後でね」
キスの後にそう言って、ミカがラッピングされた箱を見せて笑った。
なんでそんな色っぽい笑顔するかな…!
アルは抱えた花束に顔をうずめて、さらに赤くなった頬を隠した。
テーブルにはミカがくれた花束を生けた花瓶を置き、普段は使っていない白いレースのテーブルクロスを広げた。
いつも通り穏やかな夕食。
それが終わる頃にアルは冷蔵庫からチョコレートとワインを出してきた。
「ミカ、これ、俺からのバレンタインデーのプレゼント」
喜んでもらえるだろうか。
初めてのプレゼントで緊張したり、不安だったり、照れだったりで、アルはずいっと手渡すと目を逸らしてしまった。
「え? アルから?」
「う、うん」
「どうしたの、珍しい」
「だって、いつも貰ってばかりだから…。今年はバイト代あるし、だから、その…」
「ありがとう、アル」
ミカは受け取ったプレゼントをテーブルに置くと、アルを抱き寄せてキスをした。
「嬉しいよ、アル」
「どう…いたしまして」
「開けていい?」
アルは頷きながらもミカの肥えた舌を満足させられるだろうかと不安で彼の手元をじっと見つめた。
「薔薇のチョコ? すごい! きれいだね。食べるのもったいないくらい」
「そのチョコに合うワインを探してみたんだ。ミカの口に合うといいんだけど」
「ワインとチョコ? そんなマリアージュもあるんだね」
アルはワイングラスを並べるとワインオープナーを手に取った。
コルク栓を開け、ボトルを傾け、グラスに注ぐとミカの前にそれを置いた。
「様になってるね」
「バイトで教えてもらったから」
夏休みのバイトはなかなか良い体験だったようだ。
改めてそう思うとミカは嬉しくなった。
ようやくバイトできて、友達と旅行に行けるくらいに落ち着いてきたんだな。
そんなことを思いながらミカはグラスを手に取った。
香りを楽しんでから一口飲んでみる。
「ずいぶん辛口だね」
「おいしくない?」
アルが心配そうに聞いて、ミカはアルがワインと合うと勧めてくれたチョコレートを少し口に入れてみた。
「ううん、チョコと合う。へぇ、初めてだ。おいしいね」
にっこり笑うミカにアルは胸を撫で下ろした。
「いいセンスしてるよ」
ミカはアルの唇をチョコレートでつついた。
薔薇の形が崩れるのがもったいない気もするが、一口かじって口の中で溶かしていく。
苦味、酸味が口に広がり、香りが鼻に抜ける。
そしてワインを一口。
「ほんとだぁ。意外。合うね」
アルも驚いた。
「ありがとね、アル」
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