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会社の人にしおりをはさみました!
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会社の人
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「へぇー、確かに色々あるんですね。」
肩に掛かる栗色の髪を耳にかけながら、女性は近くにあったガラスの置物を手に取った。
(綺麗な女(ひと)…)
雄大はぽかんと口を開けたまま、ただその女性を見ていた。
「雄大君?」
加藤に声をかけられ、雄大はハッと我に返った。
「あっ…すみません。ぼんやりしてて。。」
「大丈夫?」
心配そうに覗き込まれ、雄大はぐっと笑顔を作り首を振った。
「いえ、大丈夫です!今日はどうしたんですか?」
雄大はちらりと女性に目をやった。
加藤はそれに気づいたのか、「ああっ。」と言って女性に目を向けた。
「前に言ってただろう?会社の歓迎会のビンゴ。4月は新年度で忙しかったから、ちょっと時期外れちゃったけど、今週末にやる事になったんだ。彼女は同僚でね。」
「加藤さん、こんな可愛いお店ご存知なんですね。」
女性は加藤と雄大の間にグイッと入り込み、赤い口紅を塗った唇で笑顔を2人に向けた。
「そうだろう?よく来るんだ。彼はここの店員の椿君。」
加藤はニッコニッコと笑って、雄大を手で指した。
「常連なんですねー。意外ー。」
雄大が急いで頭を下げると女性は雄大には興味なさそうに一瞥した。
「雄大君、予算これくらいなんだけど、いいのあるかな?」
女性のヒヤッとした態度に気付かないのか、加藤は胸のポケットから四つ折りにしたメモを取り出した。
「あっ…はい…」
「加藤さん、店員さんに聞かなくても大丈夫ですよ。私達だけで決めれます。」
鋭い声に雄大はメモを見ようと伸ばした手が止まった。
「うちは年齢も高い人もいるし、色々とうるさい人多いから、そんな若い子に選んで貰った物が部長とかに当たったら、センス疑われちゃいますよ。」
平気な顔してそんな事を言ってくる女性の言葉に、雄大はぐっと感情を飲み込んだ。
「こう言うのは女が選んだほうがいいんです☆あっち見に行きましょう。」
女性はこれ幸いと加藤の腕を取り、入浴剤などのコーナーに歩いて行った。
「……」
雄大はモヤモヤモヤっとした感情を抱えたまま、くるりと2人とは逆の方向へ歩いて行った。
「何?もう終わったの、雄大君。」
レジでノートを見ていた店長が、眼鏡を押さえながら、顔を上げた。
「えぇっ…,まぁ…僕はお役目御免です。」
「あっ、彼、今日は女連れなんだ。そりゃあ、お役目御免だわ。」
店長の言葉に雄大はぐっと胃が重くなるのがわかった。
「店長、僕バックヤードに….」
「裏は上村君が片してるから大丈夫だよ。」
「あっ…」
(Wパンチは避けたい…)
「どした?元気ないね?」
「そんな事無いですよ!」
「そう?あっ!」
RRRRRR
壁に掛けていた電話が小さく点滅した。
雄大が急いで取ろうとしたが、あっさり近かった店長が応答した。
(チッ!)
「はい、お疲れ様です。えっ?あっ、ちょっと待って下さい。」
店長の電話が早く終わらないかなあと思いながら、雄大はレジ机を指で叩いた。
「ごめん、雄大君。エリアマネージャーからだわ。ここお願いていい?」
「あっ….」
「はい、ちょっと裏で見ますんで…」
店長は雄大の答えを待たずに裏へと入って行った。
「……」
雄大はそっと中腹部に手を当てた。
(胃が…)
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