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人の気持ちはわからないにしおりをはさみました!
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人の気持ちはわからない
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「なっ!?」
雄大は抵抗するように首を捻った。
「ジッとしといて下さい。商品痛めると、買取ですよ。」
「うっ!?」
(これは詩央里が着ないタイプの服だわ…)
そう思いながら、雄大はジッとすることにした。
「似合いますよ。この格好。」
上村は楽しそうに口を開いた。
「馬鹿にしてんのか?」
「いいえ。さっき見た時、本当に女の子かと思いました。可愛いです。」
「……」
ポッと顔が赤くなるのがわかった。
(なんでこんな奴の言葉に…)
ジッーとファスナーが降りる音がした。
「あっ、残念。下にシャツ着てたんですね。」
半袖の下着の上から背中を撫でられた。
「お、おい。」
雄大が顔を向けようとした時、冷たい感触が太ももに触った。
「!!?」
雄大はびっくりして、飛び退くと、すぐ後ろにあった長テーブルに腰が当たった。
「あいてっ!」
「まだ、全部下ろしてないですよ。」
「えっ?えっ??もういいよ!」
上村が一歩近づいた。
高さの低い長テーブルのせいで、後ろに追い詰められた雄大は、テーブルに乗る形になった。
「どうして?」
脱げかけのワンピースの下から冷たい上村の手が、ふくらはぎから太ももに滑らせながら入ってくる。
「なっ!?ぐっ!!」
冷たい手の感触がゾッとした。
「逃げれると思いました?」
口の端を少しあげる上村がすぐそこにいた。
「やめっ…」
スルスルと触られ、雄大は渾身の力を足に込めた。
「…ろっ!」
「うっ!!」
がシャン!
「わったたたぁ!」
握られていたワンピースから抜け出し、雄大はあたふたとテーブルの向こう側に立った。
反対側にはロッカーに背中をぶつけた上村が、さっきまで雄大が着ていたワンピースを手にしていた。
半袖の下着とボクサーパンツの雄大は、キョロキョロとして、目の前のパイプ椅子を手に取った。
「んっーー」
がしかし、重過ぎて断念。
肩で息をしながら、そばにあった商品カタログの雑誌を掲げた。
「お、お前!!僕が…僕が好きなのか!?」
(こんな自意識過剰のような台詞!)
雄大は格好とは似つかわしくない台詞に恐怖を忘れて、恥ずかしくなった。
「いえ、好きじゃないです。」
「….…えっ?」
目の前にはけろりとした顔の上村がいる。持っていたカタログが重くなって、腕を下ろした。
「別に好きじゃないですよ。」
「….…えっ?」
上村は引き剥がしたワンピースを綺麗にたたみ、長テーブルの上に置いた。
「嫌いではないとは思うんですが…」
雄大は毒気が抜けたように目をパチパチさせた。
「思う??どういう….…イヤイヤ!!じゃあ、なんでこんな事…てかこの前、奪ってやるとか何とか…ハッ!?」
(まさか成康さん狙いか!?)
「?」
首を傾げる上村に雄大は人差し指でさした。
「まっ、まさか…なり…加藤さん狙いでは!?」
「加藤さん?あぁ、あの背の高い椿さんが贔屓にしてる人ね…まぁ、男から見てもカッコいいですよね、」
「やっ、やっぱり!!」
(もし、こいつと成康さんを取り合うとなると…)
強い目と目が合う。何も恐れる事のないよな目。
(…負けるかも…)
「違いますよ。」
シュンとする雄大に上村は呆れた顔で見ていた。
「あの人も好きじゃないですよ。」
「じゃ、じゃあ、何であのとき、き、キスとかしたんだよ!」
「あれ?初キスでした?」
「違うわい!!」
雄大はこの前の上村とのキスを思い出し、泣きそうな顔になった。
上村はコツコツと長テーブルをぐるりと回り始めた。
「く、来るな!」
雄大は逃げるように同じ回りで追われるように歩いた。
「俺、好きって感情、持ったことないです。」
「はぁ?んなわけ無いだろう!?」
「さっき、野上さんに”好きな人いる?”って聞かれました。。彼女いるかどうかは、1番初めの時、聞かれたんですけどね。」
(僕は…聞かれてないなー↓)
ガタガタ
テーブルを挟んで、上村が手を伸ばしてきた。
「へぇーー何て答えたんだよ!」
「スルーしました。んでここに逃げてきたんです。」
(それであの浮かない顔。。)
「じゃあ、野上さんと付き…」
「でも椿さんは初めて見た時から色んな表情が見たかった。」
「…?」
上村は上手い表現を考えようと頭を指でついた、
「何て言ったらいいんでしょう?椿さん見てるといじめたくなるし、2人になると怯えさせたいし。それを独り占めしたい。」
「えっ!?いじめ!?」
「あっ…時間切れだな…」
パシャ
上村は何処に持っていたのか、携帯を取り出し、雄大の下着姿を撮影した。
「じゃあ、今後ともよろしく。」
上村は取った写真をテーブル越しに雄大に見せながら、笑いもせずにロッカーに鍵をかけた。
「お、おい…」
出て行く上村と代わりに店長が入ってきた。
「お疲…雄大くん、どうした?」
まだ下着姿の部下に混乱したような顔の店長に雄大は、「あっ!すみません!」と腕でなぜか胸を隠した。
「早く着替えてね。」
「は、はい。」
上村のロッカーが嫌でも目に入る。
”いじめたい””独り占めしたい”
上村の言葉が頭を回る。
「それって…小学生の発想じゃん。。」
雄大は困ったようにため息をついた。
”今後ともよろしく”
(どういう意味だろう。。)
ロッカーに貼っているシフト表を見ながら、更に記憶がフラッシュバックする。
(僕の下着姿の写真、どうする気なんだよーー涙)
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