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18歳以上ですか?
ビルの影から…にしおりをはさみました!
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ビルの影から…
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暑い……
18時だというのに日差しはなかなか弱くならない。
雄大は通りから成康の会社を伺いながら、前の歩道を行ったり来たりしていた。
(まだ…かな?)
通りは帰りの人か、暑さと疲れに体を引きずるように歩く人たちで溢れていた。
雄大は緊張した汗を拭いながら、成康の会社に集中した。
18時を少し回ってから、ちらほらと人が出てきた。
雄大は近くの植え込みに身体を隠し、そっと出てくる人を見ていた。
連絡もなしに来たらから、嫌な顔されるかもしれない…そんな気持ちが沸き上がったが、もう後戻りは出来ないこと、後戻りはしたくなかった。
(もう嫌われてるかもしれないけど、このまま終わるなんて…ヤダ!)
雄大はグッと拳を握り、出てくる人をしっかり見つめた。
スーツの人、雑誌から抜け出したようなお洒落な出で立ちの女性、キャッキャと楽しそうな女性の一団。
(残業かな?)
雄大は植え込みから首を伸ばした。
「おい!」
急に腕を掴まれ、後ろに引っ張られた。
「わっ!あぁ……」
見上げると夕方なのにきっちりと整えられた髪型の黒田が雄大の腕を引いていた。
「また、お前か。何やってんだ?」
厳しい目が雄大に突き刺さり、雄大は俯いた。
「…あ…あの…」
「完全不審者だぞ。」
「えっ!?」
雄大はキョロキョロと周りを見渡すと周囲の人は、雄大と黒田を不思議な顔で避けながら歩いていた。
「加藤か?」
「あっ……はい。。」
こんな所で同じ会社の人に見つかって、呼び出されて、成康の(見たことないので)迷惑そうな顔を想像した。
「あっ!約束してる訳じゃないんです!あの!帰ります!」
雄大はくるりと黒田に背を向けて、逃げ出そうとした。
「ちょい待て。」
「グエッ!」
黒田は雄大の着ていたパーカーのフードを捕まえた。
「何するんですか!?」
雄大は涙目で振り返ると黒田はぱっと手を離した。
「いや、じゃあなんでここに来たんだ?」
「えっ…あっ…それは…」
ここに来て、黒田に会って、雄大の決心が揺らいだ。
「おい?」
「うっ…」
(この人に打ち明けていいんだろうか…?)
雄大がちらりと目を上げると黒田は会社の方を見ていた。
(この人、仕事中なんだよな!)
「あの僕はここで…」
「おい。こっちに来い!」
雄大はグイッと手を引かれ、成康の会社の隣のビルの入り口に連れて行かれた。
「えっ?えっ??」
黒田は雄大を後ろに隠し、そっと壁から顔を出した。
「な、なんな…!?」
「しっ!」
雄大の口に左手を押し当て、右手の人差し指を立てた。
「??」
黒田は再び壁から顔をのぞかせた。
「あいつ…そっか…」
「んーー!!」
雄大がもがくと黒田はチッと舌打ちをして、雄大の首根っこを掴んで、そっと壁から顔を出させた。
「あっ!!」
雄大はつい声が出で、急いで口に手を当てた。
(成康…さん)
雄大は再び壁に隠れた。
心臓がバクバクした。
(お、女の人と一緒だった…)
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