アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
39にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
39
-
「先輩……あのっ…」
「ん?」
珍しく、自ら触れてきた彼女はパッと顔をあげると、俺の目を真っ直ぐに見つめて来る。
心なしか顔がほんのり赤くなり、何故か緊張している様で長い睫毛が震えていた。
重ねて、握られた幸ちゃんの手が少しきゅっと強く力が入っている。
何となく、あの時の雰囲気に似ている。
―――そう。告白する瞬間を前にした人たち。
俺は、この行為が好きではない。
「好き」と、どんなに緊張して言われても、俺とほとんど関わったことのない人に言われる言葉だ。
何が目的で、俺の何が欲しいのかを問いたくなってしまう。
何故か、こんな本当かどうかわからない気持ちの伝え方を幸ちゃんにはされたくなかった。
「何?」
冷めた声しか出ない俺を内心大人げないと、思いつつ彼女を見つめる。
俺の声でぷるぷる震える感じが強くなってしまった様で。
少し、可愛いと思ってしまったことは許して欲しい。
彼女は、決心したようにきゅっと唇を1度結ぶと、小さい唇を震わせながら、声を発した。
「あのっ…!この間も、今日もその……助けて頂いて、ありがとうございます…っ…」
彼女はそれだけ必死に言うと、握っていた僕の手をパッと離して、勢いよく布団をすっぽりと被ってしまった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
43 / 54