アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
-
ドレスに着替えて奏と二人で長い廊下を歩いていた
パーティーって俺の世界では空の上のものだったし少し楽しみかも
「あの」
「何だ」
「楓に王子の事を奏と呼ぶようにって」
「ああ、そうしろ」
「わかった」
「お前は何も話さなくていい」
「うん」
「ダンスは出来るか?」
「俺に出来ると思う?」
「・・・・・もう少し早く聞きたかった」
「?」
「足を怪我した事にしておく」
「うん」
ダンスなんて踊れるはずないじゃん
必要ないものだったしね
「会釈をしてみろ」
「会釈って?」
「はぁ・・・微笑んでみろ」
「無理かも」
「無理でもやれ、ばれたらここにはいられないぞ」
「脅し?」
「時間が無いから脅しだ」
微笑むね・・・・・
仕方ないから無理やり微笑んだ
「ダメだ」
「じゃ、こう?」
「違う」
「わかんないよ!」
「じゃ、好きな事を考えてみろ」
「好きな事か・・・無いかな」
「・・・・・・・・頭痛が」
「大丈夫?」
「動物の事とかは?」
「あっ、うんうん」
動物は好きだ
ここに来てまだこの世界の動物とは会っていないけどね
「上出来だ」
「やった!」
「じゃ、行くぞ・・・腕を」
「腕?」
「組め」
「あっ、そう言う事ね」
奏の腕に手を回して微笑んだ
何故だろう、奏が嬉しいと俺も嬉しいと感じる
奏って本当は優しい人なのかも
でも、好きになってはいけない人なんだ
悲しい思いをするだけだしね
パーティーはとても賑やかだった
最初に長々と隣の国の人達が話してた時は退屈だったけどね
その後はみんなが踊り、次々に挨拶にやって来た
「空様、ご機嫌うるわしゅう」
「・・・・・・・・・」
話すなと言われてるし微笑んで誤魔化した
「王子、今宵の空様も美しいですな」
「当たり前だ」
でもパーティーって面倒臭いかも
動けないし食事も気を使って食べないとばれてしまう
「王子、そろそろダンスを」
「空様は足を痛めているのでダンスは次回に」
「さようでございますか、お大事にして下さいませ」
「ああ」
ダンスも楓の嘘で何とかすり抜けた
そう言えば楓ってこういう時は真面目なんだ
逆に怖い感じ
凱はピアノを弾いていた
何だか癒される音色だな
眠くなって来たし・・・
「いてっ!」
足を蹴られた
思わず声が出てしまったし、奏って何気にひどいかも
「空様?」
「気にするな、足が痛んだだけだ」
「大丈夫ですか?」
「ああ」
はぁ・・・ダンスも覚えようかな
座っているよりは楽しいかも
挨拶もいつまで続くんだろう
飽きて来た
そしてまた知らない人が近付いて来た
「空様」
「・・・・・・・・・・・」
何だろう
今までと雰囲気が違う
そう思った瞬間、剣が振り下ろされた
死ぬっ!
俺ここで死ぬんだ
そう思った瞬間、血が目の前に流れ落ちた
その血は白いテーブルクロスを赤く染めた
「楓」
「はい」
剣先は奏の腕に突き刺さっていた
そしてそいつを楓が殺した
いつもの楓じゃない、とても冷たい表情だった
そしてパーティーはそのまま終わり、俺は部屋に戻って来た
奏はいない
大丈夫だろうか?
魔法が使えれば少しは役に立てるかも知れないのに
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
35 / 55