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もう一人の空にしおりをはさみました!
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もう一人の空
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毎日毎日、敵の奇襲に怯えながら暮らしていた
友達は話の出来ない動物とこの使い魔だけ
親はいない、友達もいない
いつも丘の上から見えるお城を見つめ、溜息をついていた
あのお城にはどんな人が住んでいるんだろう
どうせ毎日の食事にも困らず、綺麗な服を着て笑っているんだろう
「・・・・・・・・馬鹿らしい」
人間は平等なんかじゃない
俺は生まれた時から一人だったしずっと飢えと戦いながら生きて来た
仕事も無いからまともな生活は出来ない
じゃ、どうするのかって?
そんなの簡単だよ
醜い貴族のブタ野郎に体を売って飢えをしのげばいい
俺が唯一与えられたものはこの体だけ
「じゃ、またな」
「・・・・・・・・・・・」
痛む体を起こし、安ホテルから出て海に向かって歩き出した
金さえ払えば何をしてもいいなんて言ってないのにムカつく
「月なんかなくなればいいのに」
こんな世界なんか消えてしまえばいいのに
毎日そう願いながら生きて来た
(空、お腹すいたよ)
「そうだったね、待ってて」
受け取ったお金を見つめ、食料を買ってまた歩き出した
食事はいつもこの砂浜で食べている
硬いパンをちぎり、口の中に押し込んだ
「はい」
(わーい!)
使い魔の餌は俺の精気
だから俺が食べて食事を与える
(空、綺麗な花が見たいよ)
「うん、じゃ行くよ」
(うんっ!)
俺は動物使いだった
でも、その事は誰も知らない
言ったところでどうしようもない
他の魔法も勿論使えた
でも、誰にも見せた事は無い
「行くよ」
(うん)
ワンドを腰から外し、魔法を唱えた
「それ!」
(明るい~)
そう、それだけの魔法
でも、暗闇よりはいい
「あれ・・・・?」
(どうしたの?)
「月が動いたような」
(まさか~)
だよね
月がうごくわけがない
あの二つの月は一生動く事は無い
「え?」
(だからな・・・・・ええっ!)
動いた
やっぱり動いてる
(な、な、なに?)
「わからない」
もしかして俺の願いが叶ったの?
このくだらない世界を壊してくれるの?
(空、怖いよ)
「・・・・・・・・・・・・・うわっ!」
何?
眩しい光が俺に向かって真っ直ぐに飛んできた
このまま俺だけ死ぬのかな?
世界が壊れればいいなんて願った罰なのかな
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