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35話にしおりをはさみました!
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35話
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「ゆきちゃーん、ただいまー!!」
玄関を開けてすぐに大きな声で叫んだ
「こらあみ、もうちょい静かにっ」
「…はぁい、ごめんなさぁい」
パタパタと、こちらに向かう足音
「お帰りなさい、二人とも」
由木の姿が見えると、エプロンを身に纏い
料理をしているだろう、この匂いとで
本当に自分の奥さんの様な感覚に陥る
「わぁ、ゆきちゃんかわいい!!おひめさまみたーい!」
「えっ?…そ、そう?ありがとうあみちゃん」
照れたように笑う由木をジッと見つめて
その視線に由木も気づいた
「あっ、陽くん…?どうかした?」
急に不安げな表情を見せて尋ねてくる
「あみ、手。洗ってきなさい」
「え?わかったー、いってくるー」
洗面台へとあみを向かわせて
二人の空間になる
「陽くん…?…んっ」
突然唇が重なり、ビクッと肩を鳴らす
「んっ…はぁ、は…む、っんん…ぷは」
息が乱れて、呼吸がしづらい
「あ、陽くん…?どうし「そんな可愛い格好して、…襲われたいんか?」
「へっ!?…あ、いやっ、そんなんじゃ」
何をいきなり…っ!!
顔が近過ぎて息できない…!!
いきなりそう言われて、あたふたしていると
すぐに距離が離れた
「…なーんて、冗談。…顔真っ赤やな」
「!???」
クク…と、笑う陽がムカつく
ふんっ!!
と、そっぽを向いてキッチンへと足を伸ばすと
すぐにグイッと腕を引かれた
「っわ…!!」
「嘘、今すぐにでも…襲いたい」
低く色気を帯びた声が、耳元で鳴り響いた
「やっ…やめてよ、そんな気もないくせに…っ!」
「そんな気だらけやけど、試す?」
陽の手が由木の服の中へと侵入する
「あっ…」
「なにしてるのー?」
「「!!?!?!???」」
「パパー?」
突然のあみの登場に固まる
陽の思考が必死に、フルスピードで働いた
この状況あみはどう思ってる…!?
この保育園児にはどう見えてる…!?
でも、
ごめん、あみ…っ!!
「やー、なんかゆきちゃんがお腹痛いってゆうから、パパ必死に手当てしてたんだよー?え?なになに?そう見えなかった?どう見えたー?」
「えーわかんないよぉ、ゆきちゃんだいじょーぶ?」
あみも由木のお腹を優しく摩る
「…っ!!…あみちゃん、ごめんねぇ…大丈夫、大丈夫だからね」
あみの優しさに心を打たれて
涙が込み上げてくる
「あみおなかすいたー、ごはんたべよーよー」
「そうだね!ご飯食べよう、座って座ってー」
三人でテーブル席へと腰掛ける
チラッと陽を見ると陽もこちらを見ていた
ドキッとなり、一瞬目を逸らすものの、また見てしまう
(なに?)
視線はそのままで、口パクで言ってきた
(なっ、何もないよ!)
手をブンブン振り、由木も口パクで返す
「おいしーねー!!」
「そうだねっ!…美味しいね!」
またも、あみが切り出してビクッとする
「あみ、野菜もちゃんと食べろよー」
「…パパたべてよぉ」
「だーめ、あみが食べないと意味ないの!立派な大人になれないぞ?」
「いいもーん…パパとずっといるからだいじょーぶだもーん」
「ぐぅ…!」
あ、打たれた。
二人の会話を聞きながら
あみの一言で陽が胸を打たれる事がすぐにわかった
「そうだね?あみはずっとパパ一緒にいるもんねー、かわいいかわいいあみちゃーん」
「…おやさい、食べなくてもいい?」
「だめ」
「うぁぁん」
ふふ、と笑えた
こういう二人を見てるのが本当に楽しいし、幸せ。
これが家族かぁ…と実感した
「ほら、あと一口、頑張れ頑張れ」
「うぇぇ…うっ、…た、たべた…」
最後の一口、人参をやっとの思いで食べ切った
「えらーい!あみえらい!!」
「凄いね、あみちゃん!えらい、えらい」
二人に褒められて顔が緩む
「…えへへ、えらいー?」
「えらいよー、後はお片付けだねー持って行ける?」
「いける!!」
一生懸命お皿を落とさずに台所まで持って行き
割れないように後ろから見守ってやる
「よーし!やるなーあみー!」
「えへへー!あみできたー!」
「お風呂は?一人で行く?」
「うんっ!」
「よし、行ってこい!」
「はーい」
パタパタと脱衣所まで走って行った
部屋に残った二人の時間がなんとなく気まずい
「由木」
「えっ?…な、なに?」
「今日の電話どないしたん?」
「あ…」
そうだ、今日の…。
「やっ…よく考えたら、そんな大事な事じゃなかったかなー、なんて…」
「…そう?」
「う、うん…」
「こっち座って」
ぽんぽん、と隣の席に促す
「はい…」
言われた通り、隣へちょこん、と座る
「隠し事はなし、わかった?」
「隠し事…?うん、わかった…」
「…ほな、何?」
「えっ?…あの」
まんまと陽のペースに持って行かれる
「面倒くさいって思われたくないから…あの、言いづらいんだけど …」
「うん、なに?」
息を整える
どう伝えようか、考える
「きょ、今日あみちゃんを保育園に送りに行ったとき…楓先生の感じが、なんか、陽くんたちの対応と…なんか違うかなぁ、なんて…あ、やっ、あの、考えすぎだと思ったから…言う必要ないかなと思って…」
「どんな感じやったん?」
真剣に聞いてくれてるのか、真っ直ぐこっちを見る
「わかんないけど、冷たい…感じ、かな」
「ふーん、なんやろな?…何もしてないのになぁ」
「うん…」
二人で思い返しても、何も思いつくものはない
「まぁ、今度そんな感じあったら、話し合おうか」
「う、ん…」
どこかスッキリしなくて、そのまま黙っていると
スッと顎に触れ、上に持ち上げられた
「由木、…そんな顔せんといて、ほら笑ってよ」
そう言いながら、唇が重なる
「ん…ん、んっ…」
何だか落ち着いた、凄く安心できた
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