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18歳以上ですか?
2にしおりをはさみました!
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一人になり、ふと視線を横に向ければ呼ばれて行った筈の和樹が戻って来ていた。
拓馬や歩と話をしている内容はよく聞こえないが、少し疲れているようにも見える。
そっと机に伏せている和樹の横へと近付き、肩をつついた。
「カズ疲れてる?大丈夫か?」
「…っ!大、丈夫」
「そう?」
ちらりと視線だけ上げた和樹はやっぱり疲れているように見える。
しかも甘い物はあまり得意では無いはずなのに、チョコレートばかり貰っているから今後も大変そうだ。
そういえばポケットに飴を入れていたはず…と漁ってみれば、珈琲味の飴が2つ出て来た。
「カズ、はい、これ」
反射的に手を出した和樹の掌に、2つの飴をそっと載せる。
「今日甘いものばっかり貰ってるみたいだし…苦いのとかあった方がいいかなって。あげるよ」
「あぁ…ありがとな」
「えっと…じゃあ俺、次の専門科目あるから」
あまり深い意味は無いのに何だか気恥ずかしくて、早々に荷物を持って講義室を出た。
そういえばこの後2人で講義を受けるのだったと思い出したが、今から戻るのは不自然だと思い、席を取って待っておく。
渡した佑自身も、貰った和樹も、『キャンディを渡した』意味には全く気付いていない。
*
拓馬と歩は、リュックを背負い、講義室を出て佑の後を追う和樹を見送る。
渡した後の佑が少し気まずそうに一人で出て行ったのも、後を追う和樹が少し嬉しそうにしているのも、外から見ている2人にはよく分かった。
「なぁ歩、『ホワイトデーに渡すもの』に意味があるって知ってる?」
「え、知らない。何か意味があるの?」
「ものによってはあるんだよね~。まぁ、今回はバレンタインの日だから微妙なところだけど、『ホワイトデーに渡すキャンディ』にはちゃんと意味があるからね?2人とも気付いてないと思うけど」
「なになに!?」
拓馬がこそっと小さな声で耳打ちをすれば、もう!と歩が大きな声で叫び顔を覆った。
「…早くくっつけばいいのに」
「本当だよね。ま、見てるのも楽しいけどさ?」
キャンディを贈る意味。
『あなたのことが好きです』
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