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18歳以上ですか?
屋上にしおりをはさみました!
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屋上
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「歩先輩。」
「なんでしょう佑心くん?」
「三澤先輩いますか」
俺がそう言うと、歩先輩はこれでもかってくらい深いため息を吐いた。
「あのなぁぁあ......っ、なんで毎日毎日俺を通してまなを呼ぶわけ?」
「なんでって.....直接はなんとなく恥ずかしいっつうか、やりづらいっつうか....」
俺より10センチ程身長が低い歩先輩は、下から俺を睨みつけていた。
.....迫力ねぇなー。
そんな事を考えながら、いいから呼んで下さい。と言った。
「しょうがねぇな.....まなー!佑心呼んでるぞー!」
なんだかんだいって最後には俺を甘やかす先輩に、思わず苦笑がこぼれた。
「なに笑ってんだよ!」
「....ゃ、すいません。先輩は優しいなぁと」
「思ってないだろーが!」
ぎゃんぎゃんと吠える歩先輩をなだめ、こちらに向かってくる三澤先輩に小さく手を振った。
「佑心~。また歩怒らせたのー?」
にこにこと嬉しそうに近寄ってくる先輩に、今度は微笑みがこぼれる。
「違います。歩先輩が勝手に怒ってるんですよ」
「はぁ!?」
「こら歩ー、そんなに怒らないの!!」
三澤先輩がそっと腕を掴むと、怒りオーラがだだもれだった歩先輩も少し落ち着いたみたいだった。
三澤先輩に触れられるとかずるい。
「だってさぁ、佑心がさぁ」
歩先輩はそう言うとむぎゅっと三澤先輩に抱き着いた。
二人も結構差があるから三澤先輩はすっぽり収まる感じだ。
「はいはいー」
三澤先輩も三澤先輩でポンポンと頭を撫でている。
.....べたべたしすぎだろ。
「あらー、佑心くん嫉妬ー??いいだろー、俺とまなは親友だからなぁ?」
俺のイライラを読み取ったのか、歩先輩はニヤニヤしながらそう言ってきた。
ぁーはい。盛大に嫉妬してますよ。
口には出しませんけど。
「....別に。....三澤先輩、行きましょう」
「なんだよー、つまんねーの」
「う、うん。じゃあ、後でね、歩」
俺は無理矢理先輩の手をとると、屋上に向かって歩いた。
後ろでは歩先輩が おこんなよーゆーしんー とかって言ってきたけど、まぁ、歩先輩の事は嫌いじゃないし本当に怒ってる訳じゃない。
「佑心??」
階段のところまでいくと、先輩はおそるおそるって感じで顔を覗きこんできた。
「.....なんすか?」
「ぁ、...いや、本当に怒ってるのかなぁって思って。...そんな事ない?」
怒ってはないっすよ。嫉妬はしたけど。
そんな風に言えるはずもなく、俺はただ はい。とだけ返した。
そのまま階段を登りきって、いつも通りの場所に腰を下ろした。
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