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157にしおりをはさみました!
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ひとしきり話し終えた彼は話し始めより一回り小さくなったように見えた
肩を震わせうなだれるように下を向いて飲んでいたグラスを強く握りしめている
握りしめた手の甲に浮かび上がった血管の筋を見ながら椎名は無言のままだった
長い沈黙の後...先に口を開いたのは彼のほうだった
「話はそれだけ」
彼は椎名と目を合わせることもせず自分の話に終わりを告げた
「そうか...」
椎名が最初に口にできたのはその言葉だけだった
言いたいことはたくさんある、ありすぎてどれから話していくべきなのか整理できないほど彼の話は消化するには重すぎる
けれどこのまま何も言わなければやっと話をしてくれた彼の心がまた閉ざしてしまうような気がして頭の中を整理するより先に何か声をかけたかった
少年の過去を知った今、自分にできることはなんだろう
椎名はそれをこれから考えていかなければならない
...それでも椎名は彼にこの言葉を伝えたかった
「ミツルくん...話してくれてありがとう」
言いにくいことを話してくれたこと、そこに勇気をもってくれたこと、僕を信頼してくれたこと
すると彼は下を向けていた顔を勢いよく上げて目を見開いた
「なんっ...でありがとう...なの?」
戸惑いと驚きの視線を絡ませながらそれでいてほんの少しだけ安堵した顔で椎名を見つめる
「怒らないの...?」
そう問いかける彼に椎名は一度深呼吸してからはっきりと告げた
「怒っているよ」
告げられた瞬間、彼はサッと椎名との視線を逸らしてまた下を向いてしまう
唇を噛んで言い返せないことに悔しさをにじませているようだった
怒っている...当たり前じゃないか
彼は少年を連れ去り監禁してずっと自分の支配下に置いていた
それはどんな理由にしろ許されていいはずがないのだ
「怒っているよ...でも怒りはしない」
椎名は彼に向ってあえてこの言葉を選んだ
少年にしたことはとても許されることではなくて、きちんと罪深いということを自覚させるべきだとは分かっているが震えながら最後まで絞り出すように話をしてくれた彼を今この場できつく責め立てる気にはなれない
「どういう意味...?」
椎名は向かい合わせだった椅子を彼の隣に移動させて腰かける
もっと近くで話をしようと思ったからだ
肩が触れそうな距離になった時、彼は思わずビクッと体を震えさせた
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