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見せた弱さにしおりをはさみました!
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見せた弱さ
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父さんと別れてまた生徒会室に戻っている途中。
まだ体の震えが残っていた。
どんなに違うことを考えても、止めようと強く自分を抱きしめても、ふるふると震える体は止まってくれない。
本当はもう誰にも会わず、寮に戻って寝たかった。
けれど、まだ仕事が残っている。
仕事をしないって、また父さんを呼ばれたら僕は多分もう鈴原ではいられないのだろう。
泣くとかいう悲しみよりも、恐怖が勝ってまたふるふると震えだす。
それにしても、遠い。
生徒会室ってこんなに遠かったっけ?
誰にも会いたくないのに。
今更ながら、この学園の規模の大きさを恨めしく思う。
生徒会室の扉の前には、二ノ宮君がいた。
入ればいいのに、その姿はなぜか入るのを渋っているようで。
ふと、二ノ宮君がこちらを向いた。
必然的に目が合う。
「、ぁ」
僕をその目に捉え、スタスタとこちらへ向かって来た。
あ、だめ。
来ないで。
その視線と正気を保っていないことで、僕は二ノ宮くんに背を向けて走り出した。
「ちょっ、鈴原!?」
驚いたような二ノ宮くんの声が後ろから聞こえた。
「待てよ鈴原!」
「っ、やだ!」
「は?」
体力の差からか、すぐに追いつかれて肩をグイッと引かれる。
それをパンっと弾いてしまった。
それはさっきまでことから触られることが怖いのであって、反射的にだった。
その場に崩れるように座り込んで震える肩を抱く。
「鈴原?」
困惑しているような二ノ宮くんの声。
そしてまた手を肩においてこようとする。
二ノ宮はなだめるためにおこうとしたのだろうけれど、その手にも怖くなって。
「ごめ、なさい…ごめんなさい…」
ぶるぶると震える姿で何度も謝る。
目の前に見える人が父さんと被って見える。
きっとんな僕の姿は滑稽で惨めなんだろう。
「鈴原」
最初は驚いて固まっていた二ノ宮君が真剣な声で僕を呼んだ。
その声にふと顔を上げてしまって、顔の高さを合わせた二ノ宮くんの顔を正面から見てしまう。
「にの、宮くん…っ!?」
見つめた目は父と同じく僕を見て、しかし父とは違ってしっかりと僕を写していた。
その綺麗な瞳に見とれていると腕を強く引かれた。
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