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雨の日の出来事 ④にしおりをはさみました!
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雨の日の出来事 ④
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ふう…と、息を吐いて 一松兄さんは、僕に覆いかぶさった。
「重い?」
と、兄さんが言うので、僕は横に首を振った。
体と体が密着するこの時が好きだ。二人で一つって感じるから…
「もうちょっと、このまま…」
耳元で囁く兄さんの髪に 指を絡めながら 僕は、幸せに浸っていた。
…ふと、イメージが浮かぶ。
僕は、毎月愛の巣を用意して 一つ卵を産む。暗い巣の中で愛しい半身を待つ。しかし、恋人は 現れない。僕の卵は、静かに息絶える。
今日、やっと恋人がたどり着いても もうそこには、恋人の亡骸だけ。主を失った愛の巣は、役目を終え 朽ち果てようとしている。
明日には、僕の卵も その恋人も 愛の巣と 共に剥がれ落ち、塊となって流れて行く…
悲しい物語だよね。
僕は、ごめんねって 思った。誰に対しての 懺悔なのか わからなかったけど…
「何考えてんの?…じゅーしまつ…」
兄さんの声で 我に返る。切なそうな顔をして僕を 見つめていた。
「ねえ、じゅーしまつ…お願いだから…
僕だけを見て。僕の事だけ考えて…」
僕のお腹の奥が、きゅうううってなった!これが、子宮が疼くってやつ?
しかも、今 兄さん、自分の事「僕」って言った。
兄さんが気づいているかわからないけど、普段の 兄さんの自分呼びは「俺」。
でも、初対面の人や、警戒してると「僕」になる。あと、テンパった時とか、余裕が無くなった時とかも…
今のは、後者だよね。
秘密だけど、僕は 兄さんの「僕」呼びがツボだ。
この状況で、兄さんがなんでそんなに 焦るのか わからないけど、僕は 兄さんの頬に両手を添えて キスをした。
こんな 雨の日も 悪くない って思った。
END
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