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ノスタルジア ④にしおりをはさみました!
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ノスタルジア ④
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帰りの道は、行きの時と反対に俺が十四松の手を引いて、先を行った。
まだ帰りたくないという様に、十四松の足取りは重かった。
「楽しかったね。」
「うん。」
「皆も来れば良かったのにね。」
「そうだね。」
何時もは取り留めなく、ピーチクパーチク話すのに、あの時は言葉少なく、直ぐに会話が途切れた。
「…僕…一松が…好き…」
とても小さな声だったけど、俺の耳はしっかりと零れ落ちた様な、十四松のつぶやきを拾ってしまった。
「え?」
あの時、俺はどんな顔をしていたのだろう。
「あ!えっと、おそ松もカラ松もチョロ松もトド松も、みんな好き!」
十四松は、誤魔化す様に言った。
「…うん。僕も、皆も十四松も好きだよ。」
だけど、本当は気付いてた。
俺への好きが、皆への好きと違う事。
だって、俺も同じだったから。
でも、俺は気付かない振りをした。
俺達は、兄弟で…男同士で…
一番仲が良くて、いつも一緒にいて。
俺はそれだけで、満足していた。
これ以上、何を望む?
あの時、十四松を痛いくらいに抱きしめて、
「愛してる。」
って、言えば良かった。
そしたら、変わっていただろうか…
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