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「冗談だけどさ」
「本気でされたら俺の方が恥かくことになりますよ」
「ははは、君面白いね」
面白いのはそっちだ。
カタリと音を立ててケータイが置かれる。
怒涛の会話ラッシュが終わって、沈黙を作り出す2人をBGMが包んだ。
「……椿くんだっけ」
「椿です。」
「僕さ、かなりおじさんなんだけど。どうして僕?やめといた方がいいよ。」
「もしかして俺、振られてます?」
「うーん……やんわりと。」
どうしてって言われても。
椿は智を見つめた。
その視線を感じたのか智が椿を見つめ返した。
椿の心臓は智のコミュニケーションのおかげで落ち着いていたが、また大きく音を立て始める。
どうしてって言われても、本能だ。
体が好きって言ってる。
「どうして……とかはないんです。でも一目惚れです。」
「一目惚れしたことあるの?椿くん。」
「したことないです。だけど分かるんです。体が熱くなって心臓がドキドキする……頭で考えるより先に一緒に居たいって思うんです。これ、一目惚れだってすぐに思いました。俺、これって運命だって思うんです。土井さんと俺きっと一緒になったら幸せになれると思うんです。」
「すごいな、君なにかのセールスマンかい?」
ぱちぱちと軽く手を叩きながら智は目を見開いた。
これが大人の余裕というやつか。
俺の一世一代の告白を軽く躱しやがった。
顔が真っ赤になっているのがわかる。
まるで自分は闘牛の牛かと思うほどに、うまく扱われている感覚を感じて椿は頬を膨らませた。
「土井さん性格悪いって言われませんか。仮にも俺が一生懸命告白しているのに」
「ははは、可愛い顔しないで。ごめんよ。あまりにも君が可愛いから。」
「……っ」
するりと頬を撫でられながら低い声で笑われる。
ぴりっと甘い刺激が走って、熱かった頬がさらに熱くなった。
椿の心臓は早鐘のように鳴り響く。
そんな椿の様子を見透かしてか、智は目を細めて手をするりと離した。
この男はまるで俺が何に喜ぶのか知ってるみたいに……。
恨めしい、でも好き。
本能が理性に知らしめる。
それを感じながら椿はどうしようもないとため息をついた。
もちろん心の中で。
「そんなに言われたら僕も何も言わずにサヨナラなんてできないな。確かに、運命なのかもしれない。」
「え……」
「とりあえず知り合いから始めてみるかい?」
置いていたスマホを軽く揺らす智に、椿は大きく頷いた。
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