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第三章第七節:魔王トド松3にしおりをはさみました!
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第三章第七節:魔王トド松3
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side十四松
「この魔鏡の鍵の『赤』は『血』の色なんだ。鏡守はね、自己の血と反応させることで魔鏡を使うんだよ。必要なのは、魔王家の血。鏡守のでも、魔王のでも、どっちだって構わない。ただ、鏡守は間接的に反応させることが出来る。それはつまり、僕だって直接的に反応させさえすればいいってこと」
魔王豆知識を披露したトッティは、いつの間にか握っていた尖った石をギュッと握りしめた。
その眼からは、涙がいっぱい流れ、震えている拳からは、真っ赤な血がダラダラと零れ落ちている。
「何てことをするんだ!トド松!?」
一瞬の硬直から初めてに動いたのは、カラ松兄さんだった。
「いいんだよ。カラ松兄さん。こうやって僕の血を外に出してやれば、僕だって、魔鏡の鍵、使えるよ」
トッティは、ニコリと笑う。
「ねぇ。トッティ。僕は何をしたらいいの?僕は何も出来ないんだ。僕は…いつだって何も出来ないよ。何も出来なかったんだ」
「十四松兄さん」
トッティのいつになく生真面目な面持ちに見つめられる。
「隣に居て」
「へ?」
帰ってきたのは、予期せぬ返答。
「十四松兄さんはエリートな神様だから、きっと、成果が全ての世界に居たんだよね。でもね、ただ隣に居てくれるだけで、救いになることってあるんだよ。特に僕がいたような世界はね」
――きっと、魔王に近づいてくる魔なんて、「トッティ」ではなく「魔王」目当てだったんだろうな。
チョロ松兄さんが、おそ松を抱いたまま、ずっとこっちを見ている。
一松兄さんが、そっぽを向いていると見せ掛けて、ちらちら頻繁にこっちを見ている。
カラ松兄さんが、いかにも心配そうな眼差しを、こっちに向けている。
僕は進み出て、座った。
座り込んだトッティの隣に。
トッティはこっちを向いて、にこりと微笑し、目だけで「いくよ」と合図してきた。
トッティの手の平からにじみ出る赤い血液の上に、赤い歪な魔鏡の鍵を乗せると、ギュッと握った。
何も起こらなかった。
心細そうな顔をする魔王、トッティ…
「大丈夫だよ。もう一回握って」
「うん…」
その時、パアッアと、桃色の光が広がった。
トッティの握りしめた拳のから、光が広がっている。
赤い光もすごく綺麗だったけど、今、目の前に広がる光も、温かみのある光だ。
天に立ち上る光は、さっきのおそ松兄さんの時に比べ、勢いこそ弱いけれども、中心のブレを感じさせない確かな光だった。
***
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