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第三章第七節:魔王トド松2
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十四松
「トッティ?」
トッティは、カラ松兄さんと、一松兄さんの間に割り込むように、おそ松兄さんの隣を陣取ると、チョロ松兄さんに笑い掛けた。
「女神様。僕ん家の兄さんが、いろいろ、ごめんね」
「え…トド松?」
トッティは、おそ松兄さんの握られた拳に手を添えた。
動かないはずの身体なのに、不思議にも、ふんわりと、花が咲くように開く。
その手のひらには、赤い歪な石、魔鏡の鍵が乗っていた。
「あった…」
トッティの親指と、人差し指が、それを摘む。
「トド松、何をする気なの?ねぇ…これ以上僕達から奪わないでよ」
チョロ松兄さんが「もういやだ」とばかりに眉をひそめる。
「だからね、もとに戻すんだよ。僕達が住んでいた世界も、さっき歩いてきた怪しげな世界もね」
「待ってよ!そんなことしたら、トド松もおそ松兄さんみたいに…」
「僕はそんなことしないよ。出来ないんだ。自己の生命エネルギーを使えるのは『鏡守』だけ。僕みたいなお飾り『魔王』にはそんな芸当できないから」
トッティはキュッと魔鏡の鍵を握りしめた。
「だから、この魔鏡を対価に、世界を取り戻す。魔鏡の鍵は魔国の魔王の直系ならなんとかなるよ。きっと」
「トド松!」
カラ松が、トッティの両腕をガシッと掴み、向き直らせた。
「本当に大丈夫なんだな?俺達がお前を失うことはないんだろうな!?」
「大丈夫。約束するよ」
トッティは、ふわりと笑うと、僕を振り返った。
「十四松兄さん、前世でも助けてもらっておいて申し訳ないんだけどさ、もう一度僕を助けてくれないかな?」
「助けるって…?」
――僕はいつだって、トッティを助けてあげられたことなんてないのに。
「もう一度、僕と一緒にクーデターしよう。今度こそ魔鏡を壊してさ」
***
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