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ビギナー4
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(神田語り)
小さいころから出張の多い父さんに代わって俺を育ててくれたばあちゃんは、怒ったところを見たことが無い。
すごく優しくて、あったかい人だ。
母親がどんなものか知らないけれど、ばあちゃんとよく似た感じだろうと今は思っている。
思春期とかいうやつのせいで、色々と内面的に荒れることも偶にあるのだ。いつもバカやって能天気に笑ってるだけでは無い。
俺にも人並みに悩みはある。
その後、葵さんが夕飯に誘ってくれた。進路については、学校の先生みたいに説教じみたことは何も言わないので、ホッとする。
進路なんかよりも俺には聞きたい事があったのだ。今は、春馬先生のことが優先だ。
駅前まで並んで歩いた。背丈が同じくらいなので、威圧感が無く、気を使わなくてもいい。葵さんが俺の恋人だったら素敵だなぁと実現しなさそうな空想が頭の中をすり抜けていく。その前に熊谷先生という面倒臭い存在がいるから絶対的に無理だろう。熊谷先生には色んな意味で勝てる気がしない。
「葵さん、早速なんですけど、男同士のやり方を教えてくださいっ。ネットで見てもよく分からなくて。男に穴なんて無いのに、どこをどう挿れるのか知りたいっス。」
「うわー……直球だね。来るとは思ってたけど、その質問が一番最初って。本当に神田君は好奇心旺盛な子供だな。では、その前に聞くけど、神田君は片桐先生とどうなりたいの?」
「え、どうって……どうって、うーんと……」
立ち止まった俺を葵さんが見つめた。道路を走るトラックのエンジン音が辺りに響いている。夜を迎えた空には一番星がキラキラと瞬いていた。
不思議なことに、葵さんから子ども扱いされても全く不愉快ではなかった。寧ろ、もっと甘えたいというか、心地がすこぶる良いのだ。
「お付き合いしてるんでしょう?もっと片桐先生のことが知りたいとか、ずっと一緒にいたいとか、キスして抱きしめたいとか思わない?」
「……………………ちょっと考えます。」
「どうぞ。歩きながらよく考えて。」
葵さんは笑顔を見せながら、再びゆっくりと歩き始めた。
俺は、春馬先生が『好き』だ。これは揺らぐことのない事実で、会うたびに『好き』と感じている。葵さんは、その好きの先にある感情を聞いているのだ。
うーんと……えーと……春馬先生の顔を思い浮かべて、今日の自分を振り返ってみる。
「一緒に居たら、逃げたくなります。キスなんかしたら、胸が痛くなるし、抱きしめられたら息が苦しくなる。辛いことが多くて、あまり春馬先生と一緒に居たいとは思いません。ちん……股間がきゅっとなるのも凄く苦手で。むず痒いというか、熱いというか。」
心の内を言葉にして葵さんに伝えた時、彼は数秒止ってから、大爆笑をした。
上半身を折りたたんで、お腹を押さえながらヒーヒー言っている。ちょっとこれにはムカっときた。俺は葵さんに比べたら恋愛経験は全く無いに等しいから、馬鹿にされて当然だけど、笑い続けるって酷過ぎる。
さっきの話に面白要素は無いはずだ。
「マジで、本当に?神田君、可愛すぎなんだけど。ごめん。笑いすぎちゃった。あはははっ……ふぅ……気持ちを落ち着かせるから……深呼吸……ふぅー。いきなり言われると破壊力が凄いね。振り回される片桐先生の気持ちも少しは分かるかも。
神田君、それが恋なんだよ。辛いことなんかじゃない。息が苦しいのも、胸が痛いのも、心は春馬先生を求めてるからなんだ。逃げずに我慢して春馬先生とキスしたら、もっと分かるかもよ。神田君の知りたいセックスも、やりたくなると思う。」
「セセセセセックスって……葵さん、そんな恥ずかしい言葉を……俺がやりたいとか、ちょっと待ってくださいよ。」
急に大人な単語を使われて目が点になる。
セックスって雑誌やネットでしか見たことのない片仮名だよ。口にするのも憚れるエロい言葉じゃないか。
「そうだよ。知りたいんでしょ?ちょうどいい。これ見てみて。初心者向けらしいよ。百聞は一見にしかずだ。音はイヤホンで聞いて。はい、どうぞ。」
「あ、ありがとうございます……」
道端で、葵さんが突然スマホを差し出してきた。片耳にイヤホンを差し込まれる。覗き込むと、裸の男性が2人、話しながら何かを始めようとしていた。
隅に寄り、2人で座って眺めることにした。
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