アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
嫉妬と羨望12にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
嫉妬と羨望12
-
(葵語り)
「うわぁ、先生。待望の葵さんが来てくれたよ。やったじゃん。ほぅ、美人さんですね。
あの……初めまして。俺、神田紘斗と言います。高2です。……さっきはすみませんでした。熊谷先生とは何もないです。ってか、バッサリふられました。俺は眼中にないそうです。ははは。笑えないですけど。」
立ち上がった神田君に握手を求められ、手をガシッと握られた。
「こちらこそ……よろしくね。」
よくしゃべる子だな。表情がくるくる変わって感情表現が豊かだ。なんとなく見た目が俺に似てる気もしないことはない。
俺は挨拶もそこそこに先生と向き合った。
「先生、迎えに来てくれたんだよね。」
俺の大好きなタレ目が細くなり、にっこりと笑って、大きな手で頭を撫でてくれた。
数日離れていただけでも、寂しくて恋しくて仕方がない俺の大切な人。
「ああ。こいつのせいで、無駄になったけど、無駄にならなかったみたいだな。
葵、ごめんな。俺が悪かった……もう頭ごなしに辞めろとか言わないよ。帰ってきて欲しい。」
「うん。俺の方こそ何も言わず出て行ってごめんなさい。」
ちゃんと伝えることができた。
顔を上げると、目が合った。いつもの流れでキスしようとすると、近距離から只ならぬ視線を感じた。
「路上のホモは禁止です。いちゃいちゃは駄目です。キス……とか恥ずかしいですよ。してもいいですけど。」
じぃっと神田君がこちらを見てくる。
ちょっと彼には刺激が強いみたいだけど、興味はあるらしい。どうしたらいいのかな。
「じゃあ、お前は見んな。目を伏せとけ。葵、こっちにおいで。」
先生が腕の中に俺を引き寄せると、ふわりと煙草の匂いがした。
強く抱きしめられ、俺も背中に手を回す。
いつもの俺の場所だ。誰にも渡さないよ。
「おかえり。もう勝手にどこか行くなよ。葵がいないと生きた心地がしない。」
チュッと軽く唇を重ねた。生徒の視線に、先生も軽いキスにしたのだろうが、神田君は見過ぎだ。視線が痛い。
そもそも見せてよかったのだろうか。
「うん……俺も。ところで、先生は浮気していない?」
なんとなく確認しておきたかったのだけど、神田君とは無いだろうと思った。
彼のキャラクターが残念というか、先生が嫌いな煩い学生だったからだ。ものすごく面白い子だけど。
「は?浮気?どこから、誰と?神田なら地球が終わってもあり得ないから。」
「俺と熊谷先生は何も無いですけど、言い方は酷くないですか。もう、抱き合い禁止。離れてください。ラブラブ羨ましいから、死んでしまえっ。このやろう。」
無理矢理隙間に腕をねじ入れてくる神田君と先生のやり取りが面白くて、先生の腕に抱かれながら、しばらく笑っていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
24 / 161