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放課後レッスン4
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(神田語り)
お付き合いを始めたからと言って、別段何も変わらなかった。放課後、週に2、3回準備室へ行って宿題をして世間話をして帰る。それだけ。
だから片桐先生のことは何も知らない。携帯番号すら教えてもらっていなかった。
特に変わりない毎日に、俺は拍子抜けしていた。どうして何もしないのかな。あんまり知らないけど、キ……キスとかしたりするんだよね。女たらしだから男に興味がないのかな。
片桐先生に特別な感情を持っていなかった筈なのに、もやもやと知らない感情が渦を巻いていた。だったら付き合おうとか言わなきゃいいのに。片桐先生の気まぐれに俺は振り回されていた。
世間一般のお付き合いはどういうものか葵さんに聞こうとしたが、忙しいみたいで諦めた。熊谷先生も右に同じだ。
「お前、最近元気無いじゃん。誰かに虐められてカツアゲされたとか?俺が話つけてやるから、誰か教えろ。最近そういうのが少ねーし、暇してんだよな。平和過ぎて飽きた。」
昼休みにいつもの裏庭で弁当を食べていた。秋も深まり冬がやってきたら、こんな所では寒くて休憩ができなくなるだろう。
それにしても牧村さんの物差しはすべて自分が基準だ。
「そういうのじゃないです。付き合うってどんなことするのかな……とか。」
思っていたことが口に出た。ってか好きな人に、付き合っている人のことを相談するとかあり得ないじゃん。牧村さんが好きなのに、片桐先生と付き合うとか、三流ドラマかよ。頭が痛くなってきた。
「神田から『付き合う』って単語が出るとは思わなかったな。そりゃな、好き同士が一緒に居れば、必然的にいちゃいちゃしたくなるんだぞ。毎日に電話したり、ちゅーとかな、あと…セッ……いやいや神田にはまだ早い。とにかく男はリードと避妊はしっかりしろ。俺みたいに10代で親になる場合もあるから用心しろよ。」
見当違いなアドバイスをぼんやりと聞いていた。俺と片桐先生は好き同士じゃない。結局行き着くところはそこだった。
「好きじゃなくても、そ、その……ちゅーとか出来るんですか?」
「そりゃあ、出来るさ。大人になればなるほど打算で動くからな。神田はそんな大人にはなるなよ。好きな人とだけしたほうがいい。自暴自棄は自分を1番傷つける。」
「牧村さんて意外と普通なんですね。言うことが説教じみてる。先生みたい。ふふふ。」
「言うなよ。恥ずかしいだろ。今度、カノジョに会わせろよ。約束だからな。」
「えっ……それは断ります……」
吸っていた煙草を落としそうになり、焦った牧村さんがはにかんで笑い、俺もつられて笑う。やはり牧村さんも好きだと思うけど、片桐先生も頭から離れないのだった。
放課後、いつものように国語準備室へ行く。
片桐先生が何を考えているのか、さっぱり分からない。だけど、行く場所もないので避難がてら宿題をする。明日の英語は俺が当たるので予習もしたかった。
「神田、昼休み楽しそうだったな。声が上にまで聞こえてた。事務の牧村さんだっけ?俺と付き合ってるのに、牧村さんと仲良くされると妬けるな。早速浮気か。」
入った途端、片桐先生に揶揄うように言われて泣きたくなった。
準備室の真下が裏庭の休憩スペースで、一部始終見られていたらしい。
冗談なのか本気なのか、子供な俺には理解不能だった。すでに頭はキャパオーバーを迎えていた。
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