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放課後レッスン5
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(神田語り)
酷い。あまりにも酷すぎる。
カバンを持つ手も力が入らず、へなへなとその場に座り込んだ。気がついたら凄い力で自らのズボンを握りしめており、汗で皺が寄っていたので指先で伸ばす。
『浮気』ってなんだよ。
そもそも『付き合う』の意味が分からない。頭は悪いけど、おちょくられてるのは俺でも気付くよ。
「ん?神田……どうした?体調悪いのか?」
しゃがんだ片桐先生が覗き込んできたので、思いっきり突き飛ばした。驚いた顔で尻餅を突いた先生に口を開く。
「先生……俺、付き合うの止めます。だから、浮気とか言わないで。……ううぅ……」
涙が出てきた。じんわりではなく、ぽろぽろと流れるやつだ。ここ数日考えてきたことに答えを出したら、一気に感情が流れ込んできて止まらなくなった。
よく分かんないけど、物凄く哀しい。
「……へぇ……何を言いだすかと思ったら。座って話しようか。」
立ち上がり、椅子へと座る。
しばらく涙が止まるまで、2人で向き合っていた。片桐先生がしゃくりを上げる俺の頭をずっと撫でている。
それが心地いいのが悔しくて、借りたハンカチをワザとくしゃくしゃにして涙を拭いた。
汚くしたら嫌われるかな。
「理由を教えてもらおう。どうしてあんなこと言ったの?俺が嫌いになった?」
嫌い……嫌い……片桐先生が嫌い……?
伏せていた顔を上げると、優しく微笑む先生がいた。目が合ってドキリとする。
嫌いじゃない。むしろその逆だ。
俺は片桐先生が好きだから、自分に興味の無い素ぶりを見せられて辛かったんだ。
付き合っているから、こうしてもらいたいではなく、好きだからやってもらいたかったんだ。相手の気持ちが欲しくて堪らなくなる。
これが、人を好きになるということ。
俺は……片桐先生が好きなんだ。
「嫌いになったのならしょうがない。やめようか。楽しかったのにな。残念。」
波が引くようにあっさりと言う。
「嫌い……じゃないです。」
好きになってしまいました、とは口が裂けても言いたくない。だけど、これで終わるのは寂しかった。
「じゃあ別の理由があるのか。言いたくなかったらいいけど。」
「……片桐先生は、俺のこと……どう思ってますか……」
俯きながら遠慮がちに聞いた。きっと面白い奴だからとか、ペットみたいとか言うんだろうな。分かっていても切ない。
「うーんと。あのな、最初は煩いし、ペットみたいな奴だと思ってた。 付き合おうと言ったのは面白半分だったけど、今はお前をもっと知りたいと思ってる。神田を見てると可愛いなあって感じる。キスをしたくなるし、抱きしめたくなる。そんな程度だ。」
そ、そんな程度って、恥ずかしがらずに普通に言えるものなのか?
ヤバい。また大人の余裕にやられそうだ。
「だけどなぁ……付き合うのやめるって言われたしなぁ。いきなり突き飛ばされて、頭打って痛かったわー。無かったことにしても構わないよ。お互い傷が浅いうちに終わりにするのも賢いやり方だ。」
「…………えっ…………」
どうしよう。
さっき突き飛ばしたから、怒ったのかもしれない。
どうしよう。どうしよう。
俺の気持ちも言わなくちゃ。
めちゃくちゃ焦った。
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