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『ねぇ、君! ちょっとしっかりして!!』
「ほえっ……!?」
おもいっきり両肩を揺さぶられると、僕は妄想の世界から現実の世界に戻ってきた。気がつくとさっきの編集者の人がいた。僕は慌てて返事をすると、自分の頭を掻いて半笑いして見せた。
「すっ、すみません……! 何だかボーッとしちゃってつい……!」
「ああ、良かった。何度も声をかけたのに返事をしないからどうしちゃったんだろうかと焦ったよ。ああ、そうそう。これ用紙ね、ここに名前とペンネームとか、わかる範囲の所だけ記入しておいてね。そしたらあとで隣の部屋に呼ぶから。あとそれと原稿は持ってきたよね?」
彼はテキパキと話すと、僕に記入用紙を渡してきた。このままでは持ち込みにきた人だと勘違いされると思い、僕は咄嗟に言い返した。
「あっ、あの……! ぼっ、僕は持ち込みにきたわけじゃ……!」
そう言い返そうとした時、彼は再び慌ただしく部屋から出ていった。僕は本当のことを伝えるチャンスを無くした。そして、ポツンと部屋に取り残された。
「ああ、どうしよう……! また言うタイミング逃した……! このままじゃ、本当に持ち込みにきた人だと思われるちゃう……!」
肩を落として落胆すると、深いため息をついた。そして、不意に辺りを見渡すとさっきいた女の子達がいつの間にか部屋から居なくなっていた。
「ああ、良かった。さすがに女子達がいる密室に僕だけ男子一人は目立つよな。きっと彼女達に原稿持ち込みにきた腐男子だと思われたよなきっと…――」
そこで深いため息をつくと、思わず泣きそうなった。するとさっきの人が再び戻ってきた。
「ごめんごめん、さっきから慌ただしくてごめんね! 今日は朝から色々忙しいからてんてこ舞いだよ、ハハハっ!」
彼はそう言って爽やかに笑うと、いきなり僕の手を掴んだ。
「じゃあ、隣の部屋に行こうか?」
「へっ?」
「さっき渡した用紙、書いたよね? それ持ってボクについてきて」
「あっ、あの……! ぼっ、僕は持ち込みにきた人じゃありません……!」
「え?」
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