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空いていない屋上に繋がる扉の前で、蹲って召喚するんじゃないんだから呼んだって来るわけのない悪魔の名前を呼ぶ。
春なのに、ブレザーを着ていて普通は暑いと思ってもおかしくないのに、体が寒さを訴えてくる。
プリント見ずに兄貴に渡せばよかったと後悔しても後の祭りだ。
この寒さから逃れたい。
その思いが脳内を埋め尽くして、頭が真っ白になる。
「……何してんだお前は…!!!」
「っぁ、う…?」
人の声がして、手首に圧迫感。
顔を上げてみると息を切らした椿が、俺の両手を握っていた。
どうしてこうなったのか、思い出せない。一部分記憶が欠けているような、変な感じ。
息苦しかった気はする。
だけど少しだけ、寒くなくなった。
「…何」
「何…じゃねぇだろ。お前自分のしたことわかってねぇのか?!!」
俺としては何でこいつがいるのか分からないから当然の疑問だったのだが、それを聞いて椿が怒鳴る。
何で怒るんだよ。本当訳が分からない。
…でも、今はそんなことよりも、あんたで良いから、
「欲しい」
「…はあ?」
「寒い、欲しい…」
今はただ、不安を取り除きたかった。
この自分ではどうすることもできない寒さをどうにかしたかった。
理解出来ないという顔し、驚いている椿に、その一心で俺は抱きついた。
温もりが、欲しかった。俺の”世界”は1人ではないと安心できる温もりが。
「…っ、おい…狼?」
「…寒い…もっと…っ」
上手く頭が働かない。
椿が戸惑っているが、そんなこと気にする余裕はなかった。
俺は、大嫌いなそいつに温もりを確かめるように背中に腕を回し、擦り寄った。
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