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何となく、本当に何となくだった。
お兄さんの微笑んだ顔が、どことなく母さんに似ていたからついて来てしまった。
まあ、お金の問題ならどの道言う事を聞くしかなかったと思うけど。
でも、何でこの人は僕を家に連れてくんだろう。
だって僕が居ても何も得なんてないのに…
そう思いながら、お兄さんの後ろをついていくと車の事はよく知らないけど、素人目にも見るからに高そうな車が停まっていた。
やっぱり人にお金を貸す余裕があるだけ、この人はお金持ちなのだろう。
「宵、乗って」
僕がこんな車に乗っていいのかな?
そう思ったけど、ぐいっと車の方に押し出されたから大人しく乗った。
中はやっぱり豪華で、僕が今まで通り過ごしてたら縁のない車。
呆然としていると、隣にお兄さんが乗ってきた。
「出して」
お兄さんがそう言うと、車が動き出した。
することが何もなくて、隣のお兄さんをそっと伺うと落ち着いて見てるからかな、イケメンなことに今気づいた。
すごく綺麗な人。
こういう人のこと、美男子って言うの?
ぼへーっとだらしない顔を晒していると、お兄さんがクスッと笑った。
「…ね、何で君はあんなに怒ってたの?」
お兄さん、僕が怒ってたことに気づいてたんだ…
そのことを知って、びっくりした。
今まで、僕は思っていることがあんまり顔に出ないからか僕の思っていることを当てられるのは稀だ。
「母さんの形見…売り飛ばされちゃったの…」
「…へえ、どんなやつ?」
あんまり詳しくは覚えてないのが現実なんだけど。
『形見』っていう存在が一番だったからー…
「綺麗な石のネックレスと、金色のアンクレット」
「ふうん…」
結局、お兄さんのその返事でこの話は終わった。
だからお兄さんが何を考えているのか、わからなかった。
ていうか、僕より何考えてるかわからないんじゃない?
このお兄さん…
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