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ヤケの告白にしおりをはさみました!
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ヤケの告白
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「そこからは楽でした。私が守ると決めたただ一つだけを、何が何でも守り通せばいいのだから。あれもこれも、欲張りだったあの頃から、たくさんのものは失いましたがね」
寂しそうな顔でそう語る灰吏さんは、一体どれだけのものを無くしてきたんだろう。
ウリエラ、ただ1人の家族を守るために、一体何を犠牲にしたんだろう。
そんなの、今まで父さんがいて、冬夜がいて、そして灰吏さんがいて。
母さんはいなかったけど、それでも満ち足りた生活をしてきた僕には、そんなの分かるはずない。
でも一つだけ、分かってしまったことがある。
その犠牲にしてきたもの達の中に、灰吏さんも入ってるって。
自分すらも犠牲にして、ウリエラだけを守ってきたんだって。
自分が嫌になる。
暖かい空間を、甘んじて受け入れていたからじゃない。そういう境遇を否定してしまったら、今の僕を否定することになってしまうから。
そうじゃなくて、その時のウリエラにものすごく嫉妬している自分が嫌で、そしてさっき、僕が、灰吏さんのすべてだって言葉が、とても嬉しい。
そんな雰囲気じゃないって分かってるけど止められない自分が嫌だった。
「ずっと前から、貴方が1番でした。それでも私のこの意識が貴方を傷つけてしまったのは事実ですから……」
ごめんなさい、そう動こうとした唇を塞ぐ方法は、一つしか思いつかなかった。
それは僕にしては大胆で、日頃だったら絶対にこんなところではしないその行為。
でもそれでしか止まらない気がして。
離れる2人の距離は、さっきまでと比べ物にならないくらいに熱い。
瞳を閉じて初めて唇に感じた感触は、想像よりも硬かった。きっと緊張と驚きで強ばっていたんだと思う。
「ひな……え?」
恥ずかしさにしばらく開けられなかった瞳を開くと、案の定、唇を押さえて固まっている灰吏さんが。
「え……えと、そういうことです!」
「ど、どういうことですか?」
混乱してるからなのかな。
灰吏さんがすごく意地悪だ。
どういうこと、なんて
……もう、あそこまでやったらなんでもできる気がしてきた。
「僕は灰吏さんが好きです。大好きです。さっきずっとウリエラだけが大事だったって聞いて嫉妬して、今は僕が1番だって言ってくれて凄く嬉しくて。灰吏さんが真面目に話してくれてるのに、そんなことで舞い上がってた僕ですがなにか文句ありますか!?」
ちょっと待って、今僕なんて言った?
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