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羽にしおりをはさみました!
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羽
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「冬夜、心当たりは!?」
「あったらとっくに話してる」
そう。心当たりがないから困っているのだ。今はウリエラの部屋にいる。しっかりと探せば何かあるかと思ったが、何も無い。
「冬夜、ウリエラは寝るとき、いつも窓を閉めていましたよね?」
「確か開けてはなかったけど。昨日はたまたま開けてたんじゃねぇの?ってそんなはずはないか。春って言ってもまだ朝晩は冷えるしな」
議題はウリエラ部屋の窓について。さっき俺が最初に部屋に入った時から、もう既に開いていた。
よくよく考えて見れば、おかしいことだらけで。他にもまだ、何かあるんじゃないかと疑えるような要素ばかりだった。
今日は俺の心を嘲笑うかのような晴天。この空の下のどこかに、ウリエラがいるのかと思うと、焦燥感が募る。
再び近寄ってみると、上から何かがフワリと降ってきた。
「羽?」
白い羽。でも鳥のものにしては大きいそれの先は、固まった血で赤黒く染まっている。
「それは天使の……」
灰吏が口を開く。
あぁ、やっぱりか。
それがここにあるということは、ウリエラが連れ去られたもしくは…。
「あなた達なにウリちゃんの部屋で騒がしくしてんのよ。こっちはずっと病院に拘束されっぱなしだったんだからもっと気を使いなさいよね」
いつもより格段に低いテンション、低い声のエルが入ってくる。
「エル、おはよう。ねぇ、昨日はいつ帰ってきたの?」
「何時だったかしら。確か3時頃ね。でもその前に神崎が帰ったわよ。それがどうかした?」
「ウリエラがいなくなった」
「えー!?!?アタシが帰ってきた時にはウリちゃんの部屋のドアは閉まってたと思ったわよ。そういえば帰ってリビングが血なまぐさかったのはそのせい?」
帰った時にはもう…って感じか。
「冬夜、その神崎さんは?」
「部屋のドアが開いてたからてっきりまだ病院なのかと…やっぱりアイツが天界に?」
部屋の前を通りかかった時、ドアが開いていた。そしてカーテンも昼間見た時のように、しっかりと束ねられていて、薄く光がさしていた。
だから帰っていないのかと思ったが、そうじゃなかったらしい。
「その可能性が高いね。ねぇ、エル、神崎さんと連絡取れる?」
「取れるけれど、まずは先に説明してちょうだい。話はそれからよ」
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