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踊る、踊るにしおりをはさみました!
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踊る、踊る
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俺達はあの後、天界で滞在する部屋へと案内された。神崎はウリエラと一緒にどこかへ消えたから、ここにはいない。
再びミカとやらと密室に。
「ウリエラ クロスフォードですが、現在下界での記憶が一切欠落しているようです。彼が記憶を取り戻す保証は一切ございませんが、滞在期間は気にするなと、神様が」
淡々と、事務的な口調で告げられた内容に、一瞬理解が遅れる。
「「「記憶が無い!?!?」」」
全員でハモってしまったのは、誰も想像したことのない事実だったから。
俺が拒絶されるのは、ある意味予想通りだったけど、それはあの出来事を踏まえた話。魔族として拒否されたんじゃ話にならない。
俺もアイツも記憶が無い。
だからといって引き下がるわけにはいかないけれど、彼の記憶がいつ戻るかは分からない以上どうしようもない。
「まぁ無事が確認できただけましかぁ」
現実を嘆いたって仕方がない。前を向かなければ。
「無事を確認できただけってちょっと酷いですよね。俺そんなに信用ないんですか。神様ちょっと傷つきました…」
ん?
「なんでお前がここにいんの」
「あっ、春陽さん、天原さん、お久しぶりですー!」
「って聞けよ」
どこからか湧いて出…現れた神崎。身構えるのは当然。なぜなら相手は神と言えども誘拐犯なのだから。
「そうそう、ウリエラくんのこと、残念でしたね?」
言葉ではそう言いつつも顔はそんな様子を微塵も見せていない。そのあたり性格が悪いというかなんというか。
「残念って…。創汰さん分かってたんですよね、あの電話の時には。なんであんな含むような言い方をしたんですか!」
「だって俺が口で言っても、信じてくれないでしょう?それならキチンとその目で確かめた方が早いかなって」
口を開いても、そんなわけない、なんて否定出来なかった。聞かされても、信じられない。どんな手を使っても、ウリエラに会おうとしただろう。
「神様、私には幻覚でなければあそこに書類の束が見えるのですが、こちらで何をしていらっしゃるのでしょうか?」
神崎に対しても変わらず情け容赦のない冷たい声。それにさっきまで余裕気に俺らをおちょくろうとしていた神崎が慌てる。
「えーっと…ミカがやっててくれないかな…なんて」
「なにを言っているんですか。早くしなさい」
「うぇー。あ、そうそう。ウリエラくんは俺の部屋の隣にいるんで。じゃあ」
神崎はミカに引きずられるようにして執務室へと戻っていった。
どういうつもりだろうか
俺にウリエラの居場所を教えるなんて。攫っていけと言うには立地が悪い。少しでも物音を立てれば隣室にいるヤツが気づかないわけがない。
挑発なのかなんなのか。
神の手のひらで、踊らされる人形
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