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悪夢にしおりをはさみました!
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悪夢
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小学校に入学した時から僕には友達がいなかった。
というか、上手く作ることができなかった。
内心焦っていたが、顔にも出ないので周りも特に気をかける様子もなかった。
進級して2年になった頃、いつもひとりでいる僕を気遣ってか、兄ちゃんが教室まで来るようになった。
兄ちゃんの友達と喋ることは無いけれど、いつも僕を気にかけてもらって、ただ単純に嬉しかった。
でも、兄ちゃんは卒業してしまった。
3年になり兄ちゃんが居ない僕はひとりぼっちになった。
毎日毎日、休み時間が苦痛でしかなかった。
そんな時、クラスの友達の財布が無くなったんだ。
急遽、学級会が開かれて、犯人探しが始まった。
誰が盗んだのか分からない。
勿論僕でもない。
そんな時、
「真田くんがずっと教室にいるのは知ってます。」
「そうだ。真田くん、いつもいるよね?」
「え?じゃあ犯人ってこと?」
「そのためにいつも教室に居るのかな?気持ちわる〜」
僕じゃない。
違う。
でも、顔を上げることができなかった。
涙がこぼれそうだったから。
ただ、小さく首を横に振るだけだった。
「じゃあ誰が犯人なの?」
「真田じゃないなら、真田くんは犯人見てるはずだよね。」
「そうだよ。真田、犯人誰だよ!?」
「誰だよ、言えよ!」
それにも首を横に振るだけ。
分からない、そんなの。
居たのは僕だけじゃない。
それに、別に僕は周りを監視してる訳じゃないんだから。
「やっぱり真田が盗ったんじゃねぇの?」
「っぽいよね〜」
「ウソ、泥棒じゃん。」
「やだ〜、最低〜」
僕じゃない。
僕じゃないのに。
でも、声が出せなかった。
皆んなの視線が怖かった。
黙って俯いてるしかできなかった。
この日から、僕の地獄が始まった。
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