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バナナオレきな粉入り その2にしおりをはさみました!
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バナナオレきな粉入り その2
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語り:陸上部二年 岡田
部活開始前の部室。
夏休みも残すとこあと僅か。
今日も相変わらずとんでもなく暑い。
登校するだけで汗だく。
水分をこまめに摂らないと干からびる。
ペットボトルを開けた瞬間、ふと思い出した。
そういえば合宿のババ抜きで負けて、みんなにジュースを奢った。
負けたショックを引きずって自販機の前に立った途端、夕暮れの海みたいに凪いでいた俺の心は、土用波のように荒ぶった。
バナナオレきな粉入り!!
なんてエキサイティングな物が売ってるんだ!
合宿所の自販機サイコー!!www
誰にこれを飲んでもらおうか…
……………………秋月だろ…
ババ抜きでいつも以上の無表情でジワジワと追い詰めてきた秋月。
あの綺麗な顔が歪む所をババ抜きでは拝めなかったけど、これを飲ませればきっと拝める。
そんな風に思って意気揚々と買ったのに、最終日の種目別リレーの秋月の走る姿を見て、やはり高跳びだけでは勿体ないと、必死に熱く語ってしまった。
だって勿体ないだろ、って思うんだよね。
まぁでも秋月の高跳びへの思いは凄まじいからな…
だからせっかくのエキサイティングな品物を、手渡すだけで終わってしまった。
秋月の性格からして、人から貰ったものを捨てたりはしないはずなんだよね。
飲んだのかな…
「なぁ秋月」
「なに?」
「あれ飲んだか?」
「…あれ?」
「バナナオレきな粉入り」
「ああ、うん。飲んだよ」
マジか!!
「どうだった?!感想は?!」
「……ごめん。ちょっと考え事しながらでよく覚えてない…」
「マジか…」
「ごめん…なんかすごいザラつきがあって、纏わり付くような甘さだった気がする…」
まぁそうだろうな。妥当な感想だ。
でもそれじゃ面白くないんですよ、秋月さん。
「よし、分かった…」
「……え、なに?」
「渡辺さんっ!合宿所って合宿ないとどうしても入れないんですか?!」
「ん?まぁ基本的にはな。岡田忘れ物でもしたのか?」
「ある意味忘れ物しました!なんとかそれをゲットしたいんですけど!」
「あー今日までバスケ部が合宿やってんだろ」
「えっ?!ホントですか山梨さん!」
「バスケ部のヤツがギリギリ過ぎるって騒いでたからな」
「やった!後で行ってきます!ありがとうございます!」
秋月は小首を傾げた。
伊達に中学から友達やってる訳じゃない。
秋月って実は結構抜けてる。
だから俺が今なにを考えてるのか全く分かってないはずだ。
高跳び以外の事では押しにも弱いんだよな…
「って事で秋月!これ飲んで!」
秋月、表情筋死んでる…ww
「……どういう事…?どうしてこうなるの…?」
「俺頑張って買ってきた!お前の為に!バスケ部の荒波を掻い潜ってきた!」
「……え、なんで俺の為なの?」
「おっ!それ結構いけたぞ!」
「えっ?!緒方さん飲んだんですか?!」
なんてこったい!いけるのか?!
いや、それでも俺は秋月の歪んだ顔が見てみたい!
可能性に掛けて飲んで欲しい!
「おう!山梨も飲んだ!」
「ん?なに?」
「山梨これ!バナナオレきな粉入り!飲んだよな?!」
「おっ…おぅ…飲んだな…」
ん?いけるんじゃないのか?山梨さん顔引きつってない?
「これを秋月に飲んでもらいたくて!」
「だから飲んだってば」
「よく覚えてないんだろ?つまんないじゃん!」
「え?秋月覚えてねぇの…?俺はかなりの衝撃を受けたぞ…」
「……ちょっと考え事しながらだったので…」
「……ああ、なるほどな。そうだったな」
ん?秋月の考え事の内容、山梨さんは知ってるのか?
「でもその悩みはめでたく解決しただろ?」
「……おかげさまで…」
ん?秋月は山梨さんに相談してたのか?
秋月の悩みって高跳びじゃなくて?だったら緒方さんに相談しそうなのにな…
「って事で飲め、秋月」
山梨さん笑顔こえー!www
「……え、だからどうしてそうなるんですか」
「先輩命令だ。飲め、秋月」
「パワハラです」
「聞け、秋月…緒方もあれを飲んだ。だがあいつはド天然なんだ、知ってるな?」
「天然じゃねぇし!」
いや天然ですよ緒方さん…
「はぁ…」
「きっと味覚もおかしい…すげー味だ。人知を越えてる…」
期待出来るwww
「なんだと山梨!いけたってば!」
「はぁ…」
「だから飲め」
「……だからの使い方間違ってます」
「うるさい!いいから飲め!俺と感想を語り合ってくれ!誰かとあの気持ちを共有したい!」
「秋月飲んで!俺の味覚がおかしくないって証明してくれ!」
よく分からないけど、秋月めっちゃ押されてる!
これならいける!
山梨さん緒方さんあざーっすwww
うわっ…開けただけなのにすげー匂い…
「……ちょっとこれ、俺本当に飲み込めたんですかね…記憶に自信がなくなってきました…」
秋月また表情筋死んでるwww
「記憶なんてのは曖昧なものだ…忘れたならまた刻めばいい…」
山梨さん言ってる事かっけーけど、所詮バナナオレだからねwwwしかも沈殿してるからって、めっちゃ振ってたしwww
「……じゃあいきます」
「いけ秋月!」
「…………ちょっと待ってください。勇気が足りない…」
「秋月、躊躇う気持ちはよく分かる。最初の一歩は小さくていいんだ。大きな勇気がいるからな…まず口をつけろ…ちょっとだけでいい…」
山梨さんwww
「……分かりました……いきます…!」
「ぐっといけ秋月!ガチの勇気出せ!躊躇ったら後悔すんぞ!」
山梨さん言ってる事さっきと違うwww
秋月いったぁぁぁぁ!!!
「んっ……?!」
「秋月!飲み込め!口の中に長期滞在させるとヤバイ事になる!」
経験者は語るwww
「んんんんん!!」
秋月めっちゃ首振ってるwwwレアwww
「今の秋月の声エロくねぇ?!」
急に井上さん入ってきたwww
でも確かに眉毛八の字にしてイヤイヤしてる秋月エロい!
「ふざけんな井上!山梨っ!秋月めっちゃ苦しんでるけど?!可哀想だけど可愛くない?!」
可愛いっす!なんか萌える!
「どうしよう!どうしたらいい?!」
「緒方落ち着け!タオルと水分だ!」
「人工呼吸なら俺に任せろ!」
「緒方さん人工呼吸得意なんですか?」
「そうなんだよ岡田!緒方は天然だから!気にすんな!」
「んー!!……んぅ?!んんんんっ!!」
「秋月エロっ!」
井上さん食いつき過ぎだろwww秋月パニック!緒方さんに縋りついてるwww
「井上もうあっちいけ!秋月泣きそうになってるじゃん!山梨っ!どうしよう!人工呼吸した方がいい?!」
緒方さん人工呼吸どんだけ得意なんだよ!
「緒方落ち着け!そうなったらお前に任せるけど、今はまず吐かせるぞ!タオル!誰かタオル持って来い!」
「んーーーっ!!!」
「秋月!死ぬなぁぁぁぁ!!」
なんだこれ救命処置かよwwwやっぱ三年生おもしれーwww
結局緒方さんのタオルに吐き出した秋月は、水道で口を濯いで戻ってきた。
笑い過ぎて腹痛てぇ…
「秋月どうだった?!」
「……もう岡田やだ…」
「えっ?!なんで?!」
「嘘だけど…まだ口の中ザラザラする…」
「秋月、語ろうぜ…」
「そうですね山梨さん…」
座り込んだwww
秋月いつもの体育座り!山梨さんヤンキーかよ!これでバナナオレの話しすんの?!シュールwww
ちょっ!なんで緒方さんまで一緒に座り込んでんの?!www
「まずあの匂いだな…口元に近づく程に鼻腔を刺激するあの匂い…」
「バナナなのか、きな粉なのか…きな粉が強過ぎませんか…?」
「それな…バナナオレきな粉入りじゃない…」
「きな粉ドリンクバナナオレ風味、が正解ですね…」
「完璧なネーミングだ、秋月」
重厚!雰囲気重厚www緒方さん頷いてるし!いけるんじゃなかったんですかwww
「次に口当たり…ドロっとし過ぎだろ…」
「飲み込ませる気があるのかってレベルですね…」
「きな粉多過ぎ…沈殿する程入れるなよな…」
「ドロドロのザラザラ…誰がこんなもの考えたんですかね…」
「それな…顔が見てみてぇよ…」
「俺今気がついたんですけど、きな粉苦手でした…」
「なに?!そうだったのか…辛い思いさせたな…」
なんだよこの会話www緒方さん黙って聞いてるだけだし、ホント三年生おもしろ過ぎるだろwww
四年以上一緒にいてあんな顔見たのは初めてだったな…ちょっと罪悪感…
秋月の泣きそうな顔なんてレア過ぎる…卒業式でも淡々としてるやつだし…
バナナオレきな粉入り、恐るべし…www
結果的に緒方さんの味覚は普通じゃないのかも。
まぁ緒方さんだしな、それで納得。
普段の無愛想ぶりを思えばどんな顔でも見れてラッキーだけど、とりあえず楽しかった!
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