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忘却と……にしおりをはさみました!
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忘却と……
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母の騒ぐ声に父が目を覚ますと、2階から階段を駆け降りてきた。そして、慌ててリビングの扉を開くと中に入ってきた。
「由香っ!?」
「あ、父さん……! 母さんが…――!」
俺は暴れる母を落ち着かせようとした。すると、顔に手が当たって頬を切った。
「ッ……!?」
「コラ、由香! やめなさい……!」
『いやぁあああああああああっ!! 』
「落ち着くんだ由香!」
父は暴れる母を腕の中に抱き締めると、その場で落ち着かせようと宥めた。目の前で母が壊れていく様を見て言葉には出来ないくらいの強い衝撃を受けた。
悠真がいなくなった事で母の精神はとても不安定で、今にも壊れそうなくらいだった。母は父の腕の中で悲しそうな声ですすり泣いた。そして、深い悲しみに瞳を涙で濡らした。
「ねぇ、貴方…――。あたしの悠真は、あたしの子供は一体どこにいるの? どうしてこんな事になってしまったの……!」
「由香、落ち着くまで部屋に戻ろう。そして、ゆっくり休むんだ。さあ、上に行こう」
父のその言葉に母は黙って頷いた。2人とも寄り添うようにリビングを出て行った。俺はその光景をただ呆然と見ていた。
壊れていく母にかける言葉が見つからなかった。父が部屋を出る際に水を持って来るように伝えてきた。母に薬を飲ますらしい。俺は一言わかったと言って頷いた。リンは足元に纏わりつくと下から除き混むように顔色を伺ってきた。犬に心配されるとは我ながらに情けない。
そこで溜め息をつくとリンの頭を撫でて、大丈夫だと言った。その後、床に散らばったグラスの破片を集めて掃除した。そして、水が入ったコップを手に持って2階へ上がった。
そのまま両親の寝室に向かうと扉の前でノックしようとした。すると中から2人の話し声が聞こえた。落ち着かせようとする父に向かって、母は責めて喚いていた。そして、激しい感情を口に出した。
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