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しまった・・・
まさかの体育は水泳
この学校は水泳が強いから室内プールがあったんだ
「翔君、次は体育だから更衣室を案内するよ」
「ありがとう」
じゃなくて、困るんだけど
「てか、日本語話せるんじゃん」
「話せないとは言ってないけど」
「そうだけどさ~、でも会話が出来てよかったよ」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「行こう」
「でも、水泳の用意とかしてこなかったし」
「問題ないよ、水着ならたくさんあるし」
「あはは・・・・」
そうじゃなくて・・・・・どうしようかな
「翔!大変、熱があるよ」
「えっ?」
「早く保健室に行かなきゃ!ごめん、先生にそう伝えておいて」
「何で燕羽が行くんだよ」
「だって俺、保健委員だし」
「ちっ」
「風邪かもね、とにかく行こう」
「うん」
助かった
よくわからないけどこいつ、意外と賢いかもな
「掴まって、歩ける?」
「うん」
ここは素直に肩を借りた方がよさそうだ
「行くよ」
肩を借りながら歩き、そのまま保健室に向かった
「ごめんね、休み時間に職員室に呼ばれててさ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「プールは無理なんだよね?」
「そうだな」
「でも、仮病がばれちゃうかな」
「ならサボればいい」
「えっ」
「行くぞ」
「う、うん」
保健室を通過して、今度は屋上に向かった
「そうだ、英語のテストありがとう」
「お前、ホントに馬鹿なんだな」
「むっ!英語は苦手なの!」
「英語だけ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・あはっ」
「はぁ・・・」
「でもでも、どうして?」
「補習になったら部活に出れないだろ」
「そうだけど」
「そういう事だ」
「ん?」
まだわからないらしい
俺がこいつのコーチだと言う事に全く気付いていない
「見つからないように・・・・・」
廊下で周りを見渡し、急いで屋上へ続く階段を上った
大きな文字で書かれた立ち入り禁止の文字
日本の学校はみんなそうなのかな?
「さむっ!」
「だな」
屋上に出ると、強い風が吹いていた
でも、この景色は嫌いじゃない
風に揺れる髪を押さえながら、ひなたに座り壁にもたれかかった
「ねね」
「何?」
「うん、日本の印象はどうかなーって・・・・やっぱ、景色が違うし空気も違うのかなーって」
「印象か・・・・日本人は野次馬が多いな」
「あっ、そうかもね」
「珍しいものにはすぐ飛びついてくるけど、飽きるのも早い」
「うんうん」
「だからいつか飽きてくれる事を願うよ」
「疲れちゃうよね」
「でも」
「ん?」
「何でもない」
「何?」
「何でもないって」
「もう・・・・・」
でも・・・・お節介な奴がいて助かったと言いたかっただけ
「翔はいつかまたフランスへ帰ってしまうの?」
「だな」
「・・・・・・・・・・・・そか」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「でもまだまだ先だ」
「うん」
何で悲しそうな顔をしているんだろう
こいつ・・・・誰にでもそうなのか?
日本人でここまでフレンドリーな奴も珍しいけど
「そうそう、お前に話しておきたい事がある」
「話?」
「そうだ、大事な話」
「う、うん・・・何?」
「お前、ハイジャン好きか?」
「うん、大好き」
「どうして?」
「鳥になれるから!」
「そっか」
「うんうん」
「今まで練習はどうしてたんだ?」
「んとね、俺にハイジャンを勧めてくれた先輩に教えてもらっていたんだけど、卒業したから今は一人で練習してるんだ」
「そっか」
「あの大会で、絶対勝てないと思った選手はいるか?」
「ハイジャンで?」
「いや、全体的に」
「いるいる!短距離と中距離の兄妹!無敵の兄妹で雰囲気も怖い・・・・でも、ハイジャンには関係ないけどね」
「何故勝てないと思った?」
「だって、運動神経がずば抜けてるし、毎回タイムをぬりかえてるし・・・・俺みたいな凡人には絶対真似できないから」
「そっか」
「うん、でもどうして?」
「来年、お前はインターハイに出ろ」
「む、無理っ!絶対無理」
「まだなにもしていないのに無理と決め付けてる根性が気に入らない」
「だって・・・・・みんなすごいコーチがついてるし、俺に出来る事は筋トレぐらいだし」
「コーチならいるぞ」
「へっ?」
「俺」
「そっか~・・・・・・って!!!」
「俺」
「な、な、何言ってるの?」
「来年のインターハイにあの兄妹はハイジャンで出場する」
「ひぃ!!何でっ!!」
「理由はどうでもいいだろ、肝心なのはお前の気持ちだ」
「気持ち?」
「気持ちで負けているし、やる気がないのなら教えても無駄」
「でも・・・・俺」
「出来ないのなら俺はフランスに帰るしかないな・・・・」
「えっ・・・・?」
「それに、お前は凡人じゃないよ・・・・俺が見つけたんだからさ」
「見つけた?」
「ずっと捜していたんだ・・・・・俺以上に高く跳べる奴をね」
「翔より高く・・・・・無理だよ」
「今のままでは無理だな」
「うっ・・・」
「本気でやる気があるのなら、俺はお前に全てを教える」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「無理なら今無理だと言え」
「・・・・・・・・・・・・・・ホントに俺に出来るのかな、あの兄妹に勝てるのかな」
「やる気次第だ」
「うん」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
後はこいつに任せよう
無理な奴にやらせても無駄だしね
「俺」
「うん」
「翔の言葉を信じるよ」
「えっ?」
「俺を選んでくれたんでしょ?だからその言葉を信じたい」
「わかった、じゃしっかりついて来いよ」
「うん、頑張る!」
うん
いい目だ
これなら行けるかも知れない
「俺達の目標は?」
「インターハイ!」
「よし、頑張れよ」
「はいっ!」
拳を合わせながら二人で笑った
でも、今日からこいつにとっては地獄の日々になってしまうだろう
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