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中学の俺とあなた 影山sideにしおりをはさみました!
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中学の俺とあなた 影山side
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「ねぇ影山くん、あれから何も言ってこないけどさ、及川先輩に手紙渡してくれたの?」
頭の中ぐちゃぐちゃなまま、悩みすぎて混乱して、それでも日はどんどん過ぎていく。
そんな俺に悩みの種を植え付けた人物、末岡さんが不機嫌顔で立ちはだかってきた。
手紙はボロボロのビリビリ……とても渡せる状態ではない。
正直に言うか?
でもきっと彼女は激怒して、それでもまた新しく手紙を書いて、俺に今度こそ渡してくれと頼んでくるだろう。
そしたら俺は、それを及川さんに渡せるのだろうか?
いや、きっと渡せない……
「なんで黙ってるの? もしかして渡してないの?」
何も言えない俺に、末岡さんは眉間にシワを寄せた。
俺は黙ったまま頷く。
そんな俺に末岡さんは、ますます思いっきり顔を歪めた。
「なんでよ! ちゃんと渡してよ!!
あのさ……こんなこと言いたくないんだけどさ、影山くんって性格悪いよね。
このままずるずると及川先輩が卒業するまで手紙渡さないつもりなんでしょ?
卒業した後に、受け取ってくれなかったんだとか適当なこと言って終わらせて、私をからかって遊ぼうとしてるんじゃないの?
それってサイテーなんだけど……」
「ち、違う! そんなこと考えてない!!」
「だったら、ちゃんと早く渡してきてよね!」
フンッと鼻を鳴らしてから、末岡さんは立ち去っていく。
及川さんがもうすぐて卒業してしまうという、目を逸らしたくても逸らせない現実を突き付けて。
確かに俺は最低だ。
手紙を破いて、それを正直に言えずにいる。
及川さんが末岡さんを選んだらどうしようとかそんなこと考えて……末岡さん、及川さんのことなんか何にも考えてない。
好きな人には幸せになってほしいなんて思いながら……
自分のことばっか。
俺が及川さんに選ばれるわけないって分かってるから、選ばれる可能性を持っている末岡さんを及川さんに近付けさせたくなくて、手紙を渡さずにいる。
自分勝手で、自己中で、本当に最低な奴だって自分でも分かってる。
分かっておきながら、それでも俺は……
「渡さねーと……渡さねーといけないのに、俺は……
こんなにも及川さんのことが……好き、なんだ……」
「おい、影山!! お前起きてるか?」
「は……あっ! お、起きてるに決まってんだろ!」
「そーとー眠そうだね……」
考えすぎて眠れなかったとか、あり得ない……
いつも夜でも授業中でも眠れるこの俺が、まさか眠れなかっただなんて。
しかも、大好きな部活の時間に眠くなるとか、本当にあり得ない。
とにかく、ちゃんと部活はやらねーと……終わってから家でゆっくり休めば……やす、めば………………
……………………………………………………………………………………………
なんでか分からないけど、一番肝心なところだけ覚えてないんだ。
大切な、俺にとってこれは幸せなことだったと思うのに
幸せだったんだなってことだけは分かってるのに、それがどんなことだったのか思い出せない。
バレーのことかな?
分からない、分からないけど
離したくない。離れたくないと必死になってる自分がいて
優しくて、暖かかったのも覚えてる。
嬉しかった、幸せだったんだ……
気が付いたら俺は自分がいつも使ってるベッドの上で寝てた。
どうやって帰ったんだろ?
色々と不明な事はいっぱいあるけど、なんだかとても清々しい朝だった。
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