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歌の1。指切り
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指切り
「今回は本物の鬼足君が来る」
集会所に集まった村人に夏輝が説明する
「前回の失敗も奴に償わせますから」
「いえ、気を使わないでください。てか蒼太さんが怖い」
ボキボキと拳を鳴らす蒼太の迫力に元弥が震える
「あんにゃろう!代役を寄越すならまともな奴を寄越したら良いのに!しかも元弥君もだ!何で突き飛ばしたりなんかした?」
「蒼太」
「兄様」
元弥に詰め寄ろうとした蒼太に
夏輝が声をかける
「鬼足君だが、彼は鬼渡君みたいにはならないだろうな?」
「それはご心配なく」
にっこりと笑う
「あいつは金のためなら何でもするし、口も固い」
「何かえげつない人物の様だな」
「銭ゲバですか?」
「元弥君正解!あいつのあだ名は銭ゲバ!とにかく一円でも稼ぎたい!」
「やり手ばばあの君が言うな」
「俺は学費の為です。あいつは金を集めたいんです」
「何かに取りつかれているのか?」
「かもしれません。そして…」
もっと驚くことがある
「もうすぐ着くそうです」
犬飼市駅で待ち合わせをする蒼太と誠史
「どんな子か楽しみだなあ。蒼太の後輩って鬼手君みたいに面白い子が多いから」
「鬼手さんは後輩のダチです。相変わらずどじっ子だそうです」
後輩の佐々木からのラインに苦笑する
「あはは!でも元気そうで良かった。和臣も働いているらしいね」
「はい。…と来た来た」
電車から降りてきた人物に手を振る
「え…?えええーっ?」
「先輩久し振り!元気でした?」
「おう。お前も相変わらずだな」
出会った瞬間に交通費の領収書を渡す鬼足に苦笑する
「でも弁当代は無しな」
「えー!移動費に入るでしょ!俺腹へったし」
「後何だこの甘栗代!」
「電車に乗ったら甘栗っしょ?移動中は稼げないんすよ」
「どうせプログラムか何か作ってんだろ?」
「おしい!ゲーム攻略のバイトをしてました」
「惜しくも何ともない。それより鳥井村の人で俺がお世話になっている鳥山誠史さん」
「初めまして」
誠史が笑いかけると
鬼足はじっと誠史を見つめる
「へえ…この人が噂の…」
「何?幸一に何か聞いた?」
引きつった表情の誠史に
「先輩のパトロンですよね!良いな~!俺もパトロンが欲しい!」
「へ?」
「ああ、こいつの話は半分聞いていたら良いです。おかしな方向に妄想しますから」
「はあ…」
ポカンとした誠史に鬼足は笑顔のままで
「それよか先輩の彼女は?看護師と駆け落ちしたんでしょう?」
「は?」
「山田から聞いたんですけど?」
「誰だ山田って…それよりこれにサインして!」
「へっ?…は?」
「何これ?」
思わず誠史も尋ねる
「誓約書。ここにサイン。印鑑も」
「あっ!はい。てかこれ何?」
「鬼渡君が態度が悪くて恥をかいたから。お前は大丈夫だろうけど、もしもの時はただで働いてもらうって誓約書」
「そんな…可哀想だよ。鬼渡君も悪意があった訳じゃないし」
「誠史さんは甘すぎます!」
「はい。すみません」
「タダ働きぃーっ?そんな誓約書にサインなんかしたくないです!鬼渡はすみません。まだ帰ってきてないけど…本当に婆さんとリア充?」
「揚羽婆ちゃんは孫まで居るのにそんなことあるか!それよりサインをしないならこの話はなかった事で。この領収証も返却する」
「分かりました!分かりました!サインします!」
慌てて蒼太からペンを受け取りサインする
「ごめんね鬼足君」
誠史が申し訳なさそうに頭を下げる
「誠史さん。こいつを嘗めたら痛い目に遭いますよ。だからこその誓約書です」
「はい!書きました!」
「宜しい」
誓約書を懐に仕舞う
「後でコピーして配ります」
誠史に説明し
鳥井村に向かった
鳥井村
「え?」
「あれ?」
村の人間皆が鬼足を見て動きを止める
「皆さん驚いてる!」
楽しそうな蒼太に
「俺も始めてみて驚いたもん。宗兄達も驚くよ!」
誠史も笑う
「何か見物料が欲しいな」
鬼足は呟く
「お帰り…あれ?幸一が来たの?」
「はい来たぁー!」
「蒼太は何か楽しそうだなー」
楽しそうな蒼太に宗巳も笑う
「宗兄。この子幸一じゃなくて鬼足君」
「皆俺を見てトリちゃんって言うんですよねーそんなに似てます?」
「似てる…兄弟みたいだ…」
唖然と見つめる宗巳
「俺も始めてみたとき驚きました」
「いきなり先輩がサークル申請書を俺に持ってきたときは驚きました」
「その縁で知り合いました」
「先輩は面倒見も良くていつも美味しいバイトを紹介してくれるんです」
「お前何この手?」
「誉めたから何かお駄賃くれるかなと思って」
「お前正直すぎ…それより今回のスポンサーの鳥川宗巳さん…あれ?鬼足?」
「あれ?トリ、お前仕事が忙しいからこれないっていってなかった?」
仕事をしていた剛志を見つめる鬼足
「鬼足!お前何やってんだ!人が説明してるって言うのに!」
「すみません!ちょっと気になる人が…」
頬を赤らめ俯いた鬼足に
「何?腹壊した?冷凍みかんの食いすぎ?」
領収証を見て首を傾げる
「違います。空気読んで…」
「お前が読んで無いじゃん」
「あの…蒼太…」
誠史が蒼太を呼ぶ
「鬼足君、剛志がタイプみたい…」
「何で分かるんです?」
「幸一…鳥辺野さんも剛志の事が好きだから」
「そんな困る!」
「仕方がないよ…好きって気持ちは誰にもどうにもできない」
「困ったなあ…」
「困りましたね」
鳥井神社
夏輝と宗巳と
「花嫁に他に好きな人がいるだなんてドラマみたいです!」
一人盛り上がる
「元弥君は満更じゃないんだ…」
あははと力なく笑う
「笑い事じゃないだろう。彼は同性愛の趣味が?」
「異性に興味はあるようです。揚羽婆ちゃんに興味を持っていたし」
「え?そっち系?蒼太の後輩はユニークだな」
「鬼渡との電話で揚羽婆ちゃんが美女だって思い込んでいたみたいです」
「ああ」
「どちらにしろ金が絡めばプロに徹しますから」
「そうであれば良いんだが」
「お任せ下さい」
「あ、先輩。今役場の人に案内してもらっていました」
「何か幸一君に改めて案内しているみたいで複雑だなあ」
笑う職員に丁寧に挨拶する
「どうだ?ここ」
「良い所です。皆さん優しいし、バイト代も美味しいし、それに…」
剛志を見つめる
「色ボケになって肝心の仕事に手を抜くなよ」
「分かってますって!」
蒼太の車イスを押し
「それと…」
人気がない場所で耳打ちをする
「ああ、そちらも滞りなく進んでいるな」
蒼太が笑う
「本当に楽しみだ…」
「ただいま戻りますたオクサマ」
「お帰りなさい。それとこいつ鬼足。祭りの間のバイト。この人は俺のヘルパーの鳥刺さん」
出先から戻った鳥刺を鬼足と共に出迎える
「初めまして!」
メイド服の鳥刺に驚くこともなく普通に挨拶する
「肝がでかいね」
誠史がまとわりつく鳥刺の相手をしながら鬼足に話しかける
「まあ人の趣味はそれぞれですから。先輩もそういう趣味があるのは少し驚きました」
「少しで済ますな。笑ってくれ」
「だって金にならないし。もしかして女装すると特別手当てがもらえるとか?だったら俺もします!」
「いやこれ仕事違う…いや?仕事なのか?」
悩み始めた蒼太を尻目に
「あの鳥山さん。鳥飼さんはどんな感じが好きなんですか?どうせ女装するなら鳥飼さんの趣味に合わせたい」
目を輝かせる鬼足に
「え?あいつ変態だからすごい格好をさせるかもよ?」
誠史が困ったように笑う
「元弥君の趣味に合わせ方が良いんだけど…」
「てか剛志さんてそんなに変態?全然可愛いげがないけど後輩が変態の餌食になるのはちょっと…」
「何の話をしてんだ!このバカップル!」
こそこそと話していた誠史と蒼太に剛志が怒鳴り込む
「いやーんこわぁーい!」
「うちの可愛い奥さんをいじめるなよな」
「鳥刺君の真似すんな!それよりお客さんの前で人を変態扱いするな!」
「だって変態だろ?幸のストーカー」
「詩織ストーカーのお前が言うな!」
「だってきれいなんだよー!詩織が息子を抱っこしている姿!聖母子像みたいで」
スマホの待受を見せる
「授乳中は見せられないけど」
「良いよ!見せなくて!それより鬼足さんは大丈夫なのか?悪いが俺は鬼足さんは苦手なタイプだ」
「銭ゲバな所?」
「お前もだろ?やり手ばばあ。別に性格がクソでも関係ないが、顔が好みじゃない」
「剛志は面食いなんだ」
「お前もな。とにかく鬼足さん元弥君の花嫁だ。鬼渡みたいなことになったら許さねーからな」
「分かってますよ」
舌をちろりと出す
「俺もお仕置きは嫌いですから」
まだ良い子でいます
犬飼市の祭り
「ふわあー!大盛況だ!」
大勢の男女が集まり
露店も賑わう
「犬飼市の祭りは夫婦円満を願うからね。恋愛成就もあるからとにかく人が増える」
犬飼神社に行くと鬼足はすぐにお参りする
「お前神社が好きなんだ。意外…」
金儲けに関係ないことには無関心だと思っていたが
「好きですよ神社。商売繁盛のご利益があるともっと好き」
「お前らしいや」
笑っていると
「蒼太君の後輩!ご神体を出すから手伝って!」
犬飼神社の宮司が大声で鬼足を呼ぶ
「あ、はい!」
倉庫を開き
御輿を出す
「すげ…」
「だろ?」
巨大なご神体にため息を吐く
「10年に一度のお披露目だ」
「ほへぇ…鬼渡にも見せたいな」
鳥井村の仕事が終わったにも関わらず未だ戻らぬ友人
「まああいつも大人だし、何処かに旅行中なんだろうな」
「クスッ」
「指切りげんまん…私の可愛い雌犬」
「ひいいいいいっ!」
鬼と狸と
「また鬼ごっこ」
続く
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