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高3夏の憂鬱にしおりをはさみました!
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高3夏の憂鬱
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「そっすか。しつれーなたいどさっせんした。行こうルリ」
ルリの手を引いて歩き出そうとしたら、困ったように松井に謝りながらついてくる。
それで終わり。あとでこの事を月城にちくって月城から説教されて終わり。
そう思ってたのに、ルリが「あ」と足を止めた。
「そーだ。まっちゃんのところに職場見学行こうよ」
「はぁ?」
何を言い出すんだこのうかれポンチは。
驚くを通り越して若干イラっとする。無視して歩こうとしてもルリは、俺の事を気にもしないで松井にかけよった。
「ねーねー、オレら三年なのにまだ進路決まってなくてやばいんだよねー。邪魔しないからまっちゃんのところ見学しに行っていいー?」
「えー、むしろウェルカム!!てかうちでそのままモデルデビューしちゃいなって!すぐ看板だよ!」
「それはいや〜」
「ちょっと待てばか!!」
どんどん進む話にたまらず割って入る。
職場見学?アホかこいつ。
そんなもん向かった先でお仲間にまわされるか、変な店に売られるか。
どっちかに決まってる。
ルリの手を多少乱暴に引っ張って奴から距離を取る。
「お前バカか?その辺で知り合った男の話ホイホイ信じてついて行くとか、月城が許すわけねーだろ!」
「いや、千も知り合いよ?」
「まじで?」
「まじで」
焦る俺に対してルリは、落ち着いて、と笑った。
聞くと、積極的にアプローチしてるところを見られ、月城が助けに入り、月城にまでアプローチしてそのしつこさに通報までされたらしい。
たしかに奴が本物の編集長なら、月城クラスの美貌土下座してでも欲しいだろう。
そこから、名刺を出して、会社名を出して、従業員に電話して、やっと釈放されたその瞬間に懲りもせず月城に付き纏ったらしい。
しかし、月城もスカウトは慣れてるのかそのうち飽きるだろうと相手にせずルリが標的ではないのでもう気にしもしていないらしい。
今では普通に、アプローチ、断られるまでの流れのあと世間話までする仲とか。
「だからあの人の本命は千で、オレには挨拶感覚で撮らせてって言ってるだけだよー」
「...てか、だとしても月城が嫌がるだろ。ルリがあの男についていくの」
「そこは大丈夫!おっちゃんが月城さんにお願いするから!だから月城さんの連絡先教えて〜」
いつの間に距離を詰めたのか俺たちの会話に入ってきたおっさんにビビる。
てか人の話盗み聞きすんなし。
「だめでーす。千の連絡先はトップシークレットでーす。
ね、純ちゃん。オレも全く視野に入れてない業種だけど、だからこそ見解を広げるためにも見に行ってみようよー。息抜きにもなるんじゃない」
...たしかに、俺はバイト経験もないし、一度見に行ってみたいかも。
雅人と喧嘩して、ルリと話してスッキリして戻りました、だけじゃなくて、プラスなにか収穫があれば格好もつくような気もする。
「...ルリがそこまで言うなら」
俺の言葉に、松井がまるで一生に一回の願いが叶ったかのようなでっかいガッツポーズを作った。
松井を信じたわけじゃないけど、好奇心が勝ってしまった。
ルリは月城に電話をかけ状況を説明し、途中で松井に代わって電話は切られた。
どうやらOKを貰えたらしい。
ルリに雅人にも連絡しろと言われたけれど、あいつが了承するはずもないから、ラインを送ったと嘘をついた。
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