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高3夏の憂鬱
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朝食を食べ終わり、月城は車で送ると言ってくれたけど、それを断ったのはもう少しルリと2人でいたいから。
案の定、ルリはせめて途中まで送るとルリはついてきてくれた。
「世話になった」と最後に月城に挨拶したら、いつでも来いよと笑ってくれた。
何百回見ても、月城の顔だけは本当に整ってる。大袈裟じゃなく、日本一になれるんじゃないかと思えるほどだ。
ルリのことは大好きだし、一緒にいてだれより心が落ち着く。
それでも、顔がいい月城より、落ち着くルリより、ちっとも一緒にいて冷静ではいられない雅人しか恋愛対象に見えないのはいまだに不思議でならない。あんな短気で二重人格なやつ。
いっそ別れてやると、何度も思うのに、その度に泣きたくなる。
結局、自分からあいつのいる場所に戻ってしまうんだ。
でも、素直じゃない俺はなんて言って謝ればいいのかわからない。
そうこう考えてると少し前を歩くルリが正面から来る人を見てピタッと止まった。
メガネをかけた髭面でロン毛見るからに怪しそうな小太りの中年。見るからに怪しい。
ルリも少し顔をしかめてるし何かあった相手なのかも。
ルリを庇うように前に立とうとした時、相手の男がパッと片手をあげた。
「あ、ルリちゃんじゃん。おっはー」
あまりにも気の抜けた言葉にガクッと肩を落とす。
知り合いかよ。
「まっちゃん。なーにそのひげ!クマかと思った〜」
ルリは親しげに近づき、まっちゃんと呼んだおっさんの腹をぶにぶに掴んだ。
「もー、また太ったでしょー?いい加減病気になるよー」
「今日は朝っぱら撮影で勘弁って思ってたけどルリくんに会えたから儲けもんだわ。
てことで、ルリくんが写真撮らしてくれたら痩せるよ。一冊ごとに1キロでどう?」
「割りにあいませーん」
写真?やっぱこいつルリのストーカーか何かか?
ルリのバカ無防備に変態と仲良くなりやがって!
「あんた誰」
ルリの手を引いて背中に隠すと相手を睨み付けた。
相手は目を見開いて固まり、初めて目が合う。
「うわ、君可愛いね!?ね、モデルとか興味ない!?」
急に両肩を掴まれ思わずビクッとしてしまう。
も、モデル?
固まってるとルリが相手の手を結構力で叩き落とした。
「やっぱオレなーーーんか純ちゃんを雅人さん以外に触られんのムカつくわー。まっちゃんやめてもらっていい?」
いつものルリらしくない不機嫌を全面に出した引きつった笑顔に、まっちゃんと呼ばれた男は、ごめんごめんと楽しそうにケラケラと笑う。
話が見えないでいるオレにルリは小さくため息をついた。
「純ちゃんも誰彼構わず威嚇するのやめなさいって何度言えばいいのかな。
この人はファッション誌の編集長の松井さん。この辺に住んでるみたいでゴミ捨ての時とかめっちゃよく会ううちに仲良くなったの」
「のくせにぜーんぜん撮らしてくれないよね」
ファッション誌?編集長?このヘラヘラした男が?
....怪しすぎる。
ルリのお人好しと違って俺は騙されねーぞ。
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