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10(暴力、流血あり)にしおりをはさみました!
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10(暴力、流血あり)
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休憩室で教科書を広げ、数学の問題に取り組んでいるとドアが開いた。
クレトが顔を上げると、そこにはザックが立っていた。
先程カウンターで見た時よりもよりも、さらに酔っているようだ。
クレトは従業員以外立ち入り禁止のドアプレートを指さし、出ていくように促した。
「堅いこと言うなよ、クレト」
アルコールで濁った目をしてザックがニヤニヤと笑う。
たっぷり脂肪のついた腹を揺すりながら、クレトの制止もお構いなしに彼は足を踏み入れた。
ザックとしては軽く押しのけたつもりだったのだろう。
だが体格差でクレトは突き飛ばされた形になってしまった。
すぐそばにあったソファのお陰で床に尻餅をつく事態は避けられたが、むしろ都合の悪いことになってしまう。
立ち上がろうとするクレトにザックが乗り上げてきた。
床と違ってソファの上なら高さがあるから腹が邪魔にならない。
ザックにとっては好都合というわけだ。
「声出せないんだよな? 誰も呼べないだろ?」
ニッと笑った顔にクレトは悪寒を覚えた。
「かぁわいいよなぁ、クレトはぁ。ほんっと、俺好み」
抵抗するクレトの両手首を片手でまとめ、もう片方の手でクレトの首を軽く締める。
「クレト君は“初めて”かな?」
怯えるクレトを楽しそうに見下ろすザック。
彼の目つきが正常ではないのはアルコールのせいだけではないだろう。
それを見て取って、クレトはますます青褪めた。
「優しくしてあげるよ? 気持ち良くなろう、一緒に」
徐々に降りてくる顔を避けようとクレトは必死で頭を振る。
だが、がっちりと顎を押さえられてしまった。
鼻先が触れ合う近さでザックが不気味に笑っている。
「もしかしてキスもまだとかかなぁ? う~れし~な~。今夜は初めて尽くしのお祝いだぁ」
酒臭い吐息がかかり、唇が押し付けられた。
ブヨブヨの湿った感触が気持ち悪くて吐きそうになる。
クレトは侵入してきたザックの舌に思い切り噛みついた。
間髪入れずにザックの拳がクレトの側頭部を殴打する。
軽い脳震盪でクレトの視界がゆがんだ。
すくみ上ったクレトは、ザックの手が離れ自由になったのに動けない。
かろうじて口の中の気持ちの悪い唾液と血液は吐き出した。
しかし、後ずさろうにも足ががくがくと震えている。
そんなクレトの耳に届いたのはザックの低い呟きだった。
好きなのに、こんなに好きなのに、クレト、愛してる、俺のクレト、俺のクレト…。
それに続く汚らわしい単語にクレトは恐怖で身を縮こまらせた。
再びクレトの体にザックの手が伸ばされ、クレトは声にならない叫びを上げた。
そして、ありったけの力を何とか振り絞って、もがき、暴れた。
クレトの足が偶然ローテーブルに当たり、ひっくり返る。
誰かの飲みかけのグラスが落ちて砕け、床に散乱した。
その大きな音でマスターが
「なぁに遊んでんだ、クレト」
ドアを開け、目の前の光景に愕然とした。
マスターが呆気に取られている一瞬にクレトの服が裂かれる。
気が動転したままマスターはクレトに伸し掛かる男を突き飛ばした。
「ザック!? お前、何で!」
ちょうど、そこへ演奏を終えたバンドメンバーが戻ってきた。
当然その一団にはレオンもいて-。
「!!」
クレトのあられもない姿を見てレオンが駆け寄る。
マスターに押し退けられ床に尻餅をついたザックを見て、レオンは一瞬で理性を飛ばした。
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