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22にしおりをはさみました!
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22
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井端甫が奥の部屋に入ったのを確認すると、小さく息を吐き、『DED』について話し始めた。
『DED』と陣内組は、向田篤志が若頭になる前から、裏で通じていたらしい。
その関係は対等とは言い難く、どちらかというと、『DED』に対して陣内組が媚び諂っているような関係だという。
陣内組が『DED』と交わしていた契約は、『DED』から銃器など武器類を受け取るかわりに、陣内組からあらゆる薬、麻薬から何まで全ての新薬を『DED』へと譲渡するというものだった。
「奴らは薬を探していたんだ。その薬を手に入れるためならなんでもするような奴らさ。」
向田篤志のその言葉には、『DED』への軽蔑の意が込められているように、藤城悠には感じられた。
「奴らが求めている薬とは?」
「『Dead End Desire』。その名の通りさ。
奴らは“Dead End”(DE)という薬を求めている。
“死路”…つまり毒だよ。
奴らの話だと、その薬はとても強力な毒性があるにもかかわらず、それを摂取した者が死ぬと、その体からその毒素が全て消えるんだそうだ。死という最終地点までの片道切符なのさ。」
「今も、その薬を探しているのか?」
「多分な。…そう言えば、大分前に手がかりを掴んだにも関わらず、その手がかりを一瞬にして全て失ったという話をしていたな…。」
向田篤志のその言葉に、藤城悠と有村春一は顔を見合わせる。と、突然そこへ今までずっと黙って話を聞いていた、兵藤晃が口を挟んだ。
「夏目直孝-ナツメ ナオタカ-という人物に心当たりは?」
藤城悠が時間をかけてゆっくりと聞き出そうとしていた事を、あっさりと聞いてしまった兵藤晃に思わずため息を吐く藤城悠を見て、有村春一は吹き出してしまった。
彼等は仲はいいのだが、性格は真逆で、たまにぶつかることもあるのだが、大体は藤城悠が身を引くことになるのだ。
「夏目…夏目…。そう言えば、『DED』の奴らがその、手がかりを手に入れたであろう時期によくその名を口にしていたような気がする…。」
「夏目直孝は『DED』の事を探っていた男の名だ。その夏目直孝が『DED』の探す、(DE)という薬の情報を持ってたっていうのか?」
「多分な。俺も詳しくは知らないんだ、すまない。『DED』は謎の多い組織だ。契約をかわしていた、俺たちですら構成員の人数、名前すらわからないんだ。」
一通り、『DED』の情報を聞き出した時だった。井端甫と九十九昴がいるはずの奥の部屋から叫び声が聞こえた。
「…甫さん‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」
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