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トラ先生慄く③にしおりをはさみました!
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トラ先生慄く③
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「じゃあ、基礎中の基礎から始めるね。」
「ん、よろしく。」
ぼくは理由あって、梶本君の剣道の稽古に付くことになりました。
一通りの構えや型などの説明の後、打ち合いの実演をして見せる。
「普段使わない筋肉を使うから、くれぐれもストレッチと筋トレは自主的にしておいてね。最初のうちは素振りだけでも腕と肩に結構くるから。」
「了解。効率的で効果的なの教えて。ハードなのでも構わねぇから。」
ぼくが合わせて有効な筋トレとストレッチのメニューを説明すると、梶本君は自分でも筋肉へのアプローチを確認しながらひとつひとつ実践してみせる。
プロ意識が行動の随所に現れる筋金入りの芸能人だ。
それにしても…
「なんだよ?」
的確に身体を延ばしていく梶本君を感心して眺めていると、怪訝な顔で問われる。
「いや…、第一印象のあの柔らかさが綺麗さっぱりなくなって驚きよりも、むしろ感心してしまって。素を出してくれて、嬉しいなと。」
ぼくは正直に梶本君の変わりぶりに感嘆を伝える。
「イメージダウンしたけりゃ、勝手にすればいい。素だろうと何だろうと、世間に出れば俺の個性も人格も誰かが作ったものに一瞬で構築されるんだからな。」
喉の奥でククッと笑うと梶本君は吐き捨てる様に自嘲する。
「ふぅん。ぼくは初めて会ったときの梶本君も今の梶本君もどっちも良いと思うんだけどな。まぁ、とにかく君の心地よい方のバージョン?モード?で居てよ。」
「ハハッ。なんだよ、それ。良賀谷、マジで噂通りだな。」
実際ぼくは粗野な口振りで捻くれた物言いをする梶本君にも、根は素直で柔らかい心の持ち主なんだと好感が持てるのだ。
「え、んん?噂ってなに?」
ぼくの噂?
「人たらしで有名だよ、オマエ。」
ひどい…。
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