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雪豹とドラゴンにしおりをはさみました!
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雪豹とドラゴン
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「ま、待って下さい!」
森の中に入っていく俺の後をスノウさんが、慌てて呼び止めた。
「お1人では危険です」
足を止め、振り向く。
「俺は弱くないので、ご心配なく」
「ダメです! 他のお仲間さんと会うまでで構いませんので、護衛させて下さい」
凄く面倒。本当に平気なのに。
それに今は1人になりたい。
嫉妬でぐちゃぐちゃに歪みそうな心なんて誰にも見せたくなかった。
「【認識不可(ダークサイト)】」
木陰に周り込んで姿を消す。スノウさんは、木の上を見たり草むらの中を掻き分けたりして俺を探してる。
その姿が余りにも必死過ぎて、胸が少しだけ痛んだ。
スノウさん、ごめんなさい。
心の中で謝罪をして薬草を集めるため森の中を歩く。姿も消したし俺は油断していた。
ーードーンッ
と地響きと共に目の前に巨大な何かが木を踏み倒しながら降ってきた。顔を上げると、そこには巨大な竜が視界に入る。
これは古代竜エンシェントドラゴン!?
勇者召喚された世界で1度だけ見たそれと同じ姿に目を瞠る。
何故、こんな森に?
彼らの巣は人が足を踏み入れない場所。人の前に姿を現すなど滅多にない。
俺はいつの間にかダークサイトを解いて、エンシェントドラゴンを見上げていた。
彼らは人の言葉を解し会話が出来る。何故、ここにいるのか問いたいが、このエンシェントドラゴンが焦っているような憤っているように感じて戸惑った。
そのまま見上げてると視線が交わる。その瞳には、やはり困惑と怒りが伺えた。
俺の姿を認識したエンシェントドラゴンは咆哮する。そして巨体な尾が俺に向かって振り下ろされた。
「【魔装】」
俺は受け止めるため全身に魔力を纏い肉体強化をする。しかし、当たる直前に横から何かが俺の体を包み、その勢いのまま転がった。
「はぁはぁ……、間に合った」
突撃してきたのはスノウさんだった。スノウさんは立ち上がると剣を構える。
「スノウさん待ってください」
「何? オレ今余裕ないです。早く逃げて下さい」
本当に余裕なさ気な顔をしてるし、額には汗をかいていた。
「エンシェントドラゴンです」
「何ですか!?」
「エンシェントドラゴンの知能は人以上とされ、人の言葉も解します。なので、少しエンシェントドラゴンとお話しさせてください」
スノウさんの顔が歪む。普通人前に現れないし人側からしたら未知の魔物であった。それと会話すると言ってるのだから頭の変な奴と思われても仕方ない。
「何を言ってるのですか!? 暴れてる竜にどうやって」
このままでは会話にはならない。それなら会話が出来る状態にするだけ。
「魔道具【チェイン】。エンシェントドラゴンを傷付けないように地面に縫い付けてーー【捕縛(バースト)】」
チェインは増加&巨大し、エンシェントドラゴンの大きな体を地面に縫い付けた。知能の高いエンシェントドラゴンが意図も簡単に【チェイン】に捕まってる。それ程、余裕がないということ。
俺はスノウさんの静止を振り切り、エンシェントドラゴンと目が合うように顔の横に立った。
「誇り高き古代竜エンシェントドラゴンよ。何があった? 何故、怒り狂っている?」
口調を勇者だった時のように自信に溢れてるものに変える。こちらがナヨナヨしてても下手に出過ぎても、エンシェントドラゴンは相手にしてくれない。
とても気難しい魔物なのだ。
『……』
「我ら人より知力の高いエンシェントドラゴンが人の言葉を解し話すことを知っている。俺は誇り高き貴方がたを尊敬している。この身で助けになることがあるならば、力になりたい」
想いを告げた後はエンシェントドラゴンの瞳を見つめ続けた。決して俺からは視線を外さない。
先に折れたのはエンシェントドラゴンだった。
『人間よ、問う。我が愛し子を見ておらぬか?』
子供? エンシェントドラゴンの子供がこんな森にいるとでも言ってるの?
「見ていない。……迷子という訳ではないようだけど?」
『悪しき獣人が我が愛し子を連れ去ったのだ。気配では、この森の何処かにおるのだが……』
エンシェントドラゴンは長い一生で1回しか妊娠しない。双子とかで生まれない限り子はたったの1匹。その1匹を全力で守り愛しみ育てる。
その子供が攫われたとなると、理性も失うだろう。
俺は魔力制御の指輪を2つ外した。ブワッと魔力が体を包んだ後、俺の中に入っていく。
「【探知無限大(インフィニティサーチ)】」
森の広さが分からなかったため、可能な限りの範囲を探知し始めた。目を瞑り神経を集中させる。
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