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ハネムーン 16 (士郎side)にしおりをはさみました!
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ハネムーン 16 (士郎side)
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「ココなら見えねェだろ。全部、脱いじまえ」
互いを隔てる布が奪われ、龍之介がまとめて腕に通した。
「絶対、失くすなよ……?」
最後の抵抗で睨めば、
「そン時は、永遠に海ン中で抱き合ってりゃいい……」
と笑われた。
とんでもないことを言われているのに、その笑顔があまりに幸せそうで、喉の奥が熱く詰まった。
もはや何も言えなくなる。
「……ほら、しっかり縋りつけ。じゃねェと、オマエの好きな奥まで届かねェだろ?」
「……っ、もう黙って、早く来い……っ」
やってきた大波と共に、龍之介が深く身体を沈めてきた。
波に流されながら、熱が重なる。
夕陽に照らされ、波に抱かれ、愛しい男と一つになる。
太古の昔からある波のリズムと律動が重なった。
不思議と懐かしく、遥かに深く、満たされていく。
いつかこの命が終わる時が来ても、海に還り、一つになる。
永遠に共に在りたい。
おまえと……おまえの魂を抱いて、眠りたい……。
空が茜色から群青に溶け、月明かりに包まれるまで、夢中で互いを求めた。
やがて疲れ切り、抱かれたまま、海面を照らす月明かりを眺めた。
激しくすると言っておきながら、いつになく優しく抱かれたせいで、終始意識を手放すことはなかった。
だから、だろうか。
離れがたくて、沖に上がる気がしない。
まだ、バカンスは始まったばかりだ。
明日も明後日も、共にいられるとわかっているのに、つながりを解いたら、この美しくも儚い魔法が解けてしまいそうで、恐怖と切なさにキリキリと胸を締めつけられた。
「……くしゅ…っ」
こちらの身体の震えを感じ取った龍之介が、小さくため息をつく。
「……さすがに上がンねェと、風邪引くか」
首筋にキスと吐息が落ちてきた。
体温を分けようと、背後から抱きしめてくる龍之介の身体も、自分と同じようにひどく冷え切っていた。
なのに、たまらなく温かく感じるのは、自分と同じ気持ちでいてくれると信じられるからだ。
「……また、来ればいい」
「……ああ」
渡された布を身につけた。
身体中が軋んだが、浮力に助けられていたせいか、思ったより負担は少ない。
冷えた身体に吹きつける風に身を震わせれば、ビーチチェアに残していたタオルを頭からかけられ、乱暴に身体を拭われた。
まるで小さな子供にでもなったようで、首筋がカァっと熱を持つ。
「なァに、照れてンだよ?」
「……意外に世話好きだと、呆れただけだ」
「はァ? オマエが言うか」
克己のかァちゃんのくせによ、と龍之介が乱暴に己の髪をタオルで拭きながらボヤく。
それには言い返す言葉もなくて、苦笑した。
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