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18歳以上ですか?
15にしおりをはさみました!
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15
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「今貴方の前にいるのは主じゃない。私だ」
俺の中にしっとりと染み渡らせるかのように静かに囁く。
顔を近づけ俺の唇をぺろりと舐め、
「さぁ、魔王様。私の名前を呼んで」
目を真っすぐに覗き込んでくるそいつから逃れるように目を瞑りながら、俺は固く唇を閉ざし、
「私の名前は――…」
愉悦を含んだその口調から名前が紡がれ、唇を重ねられることを想像していた、のに
実際は名前が紡がれることも、唇が触れることもなかった。
突然ふわっと後ろに引き寄せられ、俺を包み込むように誰かに抱きしめられる。
腕を戒めていた布はいつの間にか取り除かれ、バサッという音に混乱する中状況を確認するために目をそっと開けると、柔らかな羽が目の前に広がっていて。
背中に感じる熱と心地のいい匂いに、俺はゆっくりと振り返った。
「シグ…っ」
目を見開く。
「うん」
俺の言葉に頷きを返したシグにどうしてここに、と考えつつも安堵を覚え、ばくばくと煩かった心臓が落ち着いていくのを感じていた。
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