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18歳以上ですか?
ご対面にしおりをはさみました!
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ご対面
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部屋の中央に置かれていたソファに一人座っている黒髪の男が視界に入る。男は左側のソファに腰掛け、じっと瞑想していた。
この男がリョウヤとやらに違いない。
僕は気合を入れなおし、部屋に一歩踏み入るとタイミング良く男の瞳がゆっくり開かれた。
深緑の双眸につい目が奪われた。
眠そうに細められた瞳には猛獣のような気高い至高が含まれている。睨まれたりすれば泣き出してしまいそうだ。
「あのー…」
声をかけてみると、鋭いまなざしを投げかけられる。
寡黙な男はただただ僕を凝視する。何故かむずがゆく感じ、肩をかいていると、無言で右側のソファに顎をしゃくられた。
座れ、ということなのか。うん、立ちっぱなし嫌だし座らせてもらおう。
案外余裕がある僕は軽く頭を下げふかふかの革張りソファに座った。見た目を裏切らず座り心地は抜群だ。
その間も男の視線は離れず、むしろ絡まりつくような痒みを覚えた。我慢して黙っていたが、沈黙が長く続くのが耐えきれずこちらから切り出してしまう。
「…その、それで何か用ですか?」
震えた声音で問いかけるが、男は口を開こうとはしないくせに、穴があくほど見つめてくる。
ついに僕のイライラメーターは振り切った。
「もうなんなんだよ!言いたいことがあるならいえっつーの!」
裏家業の人間にこんな口をきいたら殺されるって分かってたけど、沈黙に押しつぶされて死ぬよりましだと思いたい。
僕の迫力に根負けしたという様子はないが、男の唇がかすかに動いた。
「………れ」
「え?」
聞こえなかったので不躾な態度で聞き返す。
「…してくれ」
「だから何を」
「結婚」
僕のときは止まった。
「結婚、してくれ」
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