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雨音11にしおりをはさみました!
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雨音11
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立花はタクシーを降り、一目散に土屋の元に駆け寄った。
「ツッチー」
土屋は、駆けてきたのが立花だと気づき、安堵と怒りが混ざったような表情を浮かべる。
「立花、一体どこ行ってたんだよ!
っつか、
何だソレ!?」
包帯が巻かれた立花の左腕を見て、土屋は眉をひそめる。
「お前全然戻って来ねーから、途中で帰ったのかと思ったけど、カバン置いたままだったし...。
携帯に連絡しても全然繋がんねーし。
..コレっ、カバン」
土屋に自分のカバンを手渡され、カラオケの途中に自分が姿を消したことを思い出す。
「...ワリ、...ちょっとヘマして、」
立花は土屋に向かって頭を下げ、小声で話す。
「後で詳しいこと話すから、今ちょっと・・」
土屋がタクシーに視線を向けると、精算を終えた恩田が車内から出てきてた。
「 ......ん!?恩田?、え、何で?」
「コレ。
病院に恩ちゃんが連れてってくれて、で...、」
立花は自分の左腕を指す。
「土屋、お前ここで何してんだ?」
恩田の突然の登場に、土屋は驚きながらも立花にチラッと視線に送る。
「いや、先生こそ、何で...?」
「立花がケガしたから、コイツん家まで付き添ってきたんだよ」
「ケガって、」
「腕切って、何針か縫ったんだコイツ。
で、土屋。お前、
何か知ってんのか?」
立花は無言で土屋に目配せをする。
「オレは、.....立花がカラオケ途中でバックれたから、文句言ってやろうと思って。
コイツ電話無視するからさぁ」
土屋は立花に向かって、「どこでケガしたワケ?」と尋ねた。
「階段から落ちて、そん時、切ったっぽい...」
「はあー?何だそれ?」
「まあまあ、土屋お前今日はいいだろ?立花も疲れてるみたいだし、また今度話せよ」
恩田は二人の間に入って、土屋に帰るよう促す。
「...分かった。
じゃ、またな、立花」
「おぅ、また」
マンションの入り口を開けるため、立花はカバンからカードキーを取り出す。
よく考えたら、オレ自分家のカギも持ってないで家に帰ろうとしてたんだな...。
「立花っ、」
帰ったと思っていた土屋に、突然後ろからグイッと腕を引っ張っられ、手に何かを渡された。
「コレ....、お前んだろ?
....大事なものなんじゃねーの?」
手を開くと、失くしたと思っていたシルバーリングのネックレスだった。
「ぁ.....」
「じゃーな!」
よかった...
...失くしたと思ってたのに、
..あったんだ...
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