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13にしおりをはさみました!
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とうとう6限終わりのチャイムも鳴り、さらには掃除の始まり、終わりのチャイムが鳴る。
2時間くらいに渡って繰り広げられた質問攻めに、内心うんざりしていると、俺が一番されたくない質問をされた。
「家族構成ってどうなの?お兄さんとかいそうだよねー」
俺の何を見てそんなことを思ったのか知らないけど、無邪気な顔を見せる。
が、俺は生憎家族のことを話題に出されるのが大嫌いだ。
「何でそんなこと聞いてくんの、お前に関係ないだろ」
「いいじゃん、興味本位だよ」
「………言いたくない」
こんなことを言ってしまえば、余計に興味をそそってしまうのは分かっているが、それでも意地になって、家族のことは話さない。
俺はあいつらを家族と思っていないから。
「なんで?知りたいな〜〜?」
チッ…
わざとらしく語尾を伸ばして言うこいつに、余計イライラが増す。
そんな俺に、玖村はただ笑顔でこっちを見ているだけだった。
「……知られたくねーことの一つ二つあるだろ」
「そう?じゃあ聞かない」
まただ。
冷静に、本気で嫌そうにすれば、こいつは簡単に身を引く。
少し驚きもしたけど、面倒事にならないならどうでもいいか、と考え直す。
「じゃあ、最後の質問ね」
そう告げられ、やっとかと安心しきった次の瞬間
今までずっと笑顔で質問を繰り返していた玖村が急に冷ややかな目で俺を見た。
「今まで何人に抱かれてきたの?」
今までのような語尾を伸ばす聞き方なんてせず、ただ冷たく言い放たれる。
そのあまりにも冷たい雰囲気に、小さく息を呑んだが、俺はすぐに思い直す。
そんなことか、と。
「知らない。覚えてない」
俺の放ったその言葉に、ピクッと玖村の眉が動いた。
「何それ。知らない?」
「わざわざ数えねーだろ、んなもん」
「何で」
「はぁ?そんなん数えてたらキリねーっつーの」
7年だぞ。1年間にヤられた人数も覚えてねーよ。
俺はこの質問を今まで何度かされたことがあるし、今だって別に躊躇もなく言えている。
あくまでも堂々と答える俺に対し、玖村には何の反応もない。
幻滅されたかと思うけど、それを今更気にするほど、俺はもう子供じゃない。
スクっと腰をあげて、手を玖村に差し伸べた。鍵をもらうために。
「質問は終わりだよな、じゃあ、鍵、」
「…―い」
差し伸べた左手に鍵は乗らず、玖村の呟くような小さな声が聞こえ、こいつの冷えきった手のひらが乗った。
何を言ったのか聞こうとすると、一気に引っ張られ、ソファに押し倒されたような体制になる。
何だと思っていると、玖村が口を開いた。
「汚い」
今度こそ、ビクッと体が跳ね上がった。
そいつの顔には何の感情もない。
さっきとは比べ物にならない程の冷たい目で見下され、俺は恐怖で動けなくなっていた。
けど、その恐怖は段々と怒りに変わっていく。
自分が汚いことなんて、自分が一番わかってる。やめたくてやめれるなら、とっくの昔にこんな馬鹿なことやめてる
―オメガは運命の人に出会うまで苦しみ続けなければならない―
お前にその苦しみがわかるのか、という意味を込め、玖村を下から睨みつける。
しかし、それに対し玖村はハッと鼻で笑うだけ。
「何、その目。怒ってんの?」
「…汚いなんて、自分が一番わかってる」
今まで何度も犯されそうになる度に、抗い続けた。
それでも快楽は尽きることを知らず、犯されれば犯されるほど、もっと、もっとと、身体は快楽に堕ちていく。
つらくて、苦しくて、泣きたくても涙なんてとうに枯れ果てた
「誰でもいいんじゃん、気持ち良くしてくれるなら」
「その時はそうだ。けど行為が終われば虚しさとか、悔しさとか、そういうのがしばらく残るんだよ」
お前らアルファなんかには一生かけても分かんねーだろうけど
元々住む世界も違うのだ。
分かられてたまるものか。
何を言われても、悲しくなることはなく、ただ怒りは収まるところを知らず
今では髪で顔も見えなくなったこいつの下で、俺は睨んだ目をさらに鋭くさせようとした、その時―
トスッと胸に何かが落ちてきた。
「…で……じゃん」
「…は、」
俺の胸元から聞こえてくる声に、落ちてきたものが玖村の頭なのだとわかる。
もぞもぞと、人の胸の上で、今度は俺にも聞こえるくらいはっきりと言った。
「誰でもいいなら、俺でもいいじゃん。…俺だけでいいじゃん」
「……いや…、高2の男が、じゃんとか言っても何も可愛くねーからな?」
心の中で、そこかよ、と自分でツッコむ。
だって、そうでもしないと、平常心を保てなさそうだから……。
今まで幾度となく男に抱かれ、女には逆レイプのようなものをされ
もう何もかも嫌になって、投げ出したくなって。
『俺でいいじゃん』
それは何回か言われたことがあるけど、そこにはもちろん愛なんてない
けど
『俺だけでいいじゃん』
そう言われたことが初めてで
初めて言われた言葉に反応しただけ。
だから
不覚にも嬉しく思ってしまったのも
ちょっと顔が熱いのも
心臓が五月蝿いのも
きっと何かの間違い。
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