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②
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千堂の突然の電話から、約一週間後の事。
「み、宮田君!今日ジムに来るなんて聞いてなかったけど……」
「ああ、誰にも言ってないからな」
「そ、そっかぁ。急に入って来たから驚いちゃったけど、宮田君に会えて嬉しいなぁ」
「…そうか」
この一週間、ニヶ月後の試合に向け、練習と減量調整で一歩に連絡を入れる事もなかった。だから、久しぶりに顔を見にこようと宮田は鴨川ジムにやって来た。
いつも通りの一歩の反応と少し頬を赤らめる表情に宮田は一歩をじっと見据える。
その視線が気になったのか一歩は首を傾けた。
「宮田君?」
「……この一週間…」
「一週間?……がどうしたの?」
「なにも変わった事はー…」
なかったか?と宮田が言い終えるよりも早く、ジムの奥の扉が勢い良く開いた。
その扉の先に宮田も一歩も視線を向ける。
「あれぇー?お前、宮田やないかい。自分何しに来たんやぁ!」
大きな声の関西弁が耳に入った瞬間「もう遅かったか」と宮田はボソリと呟く。
そんな宮田の声を聞き取れなかった一歩がもう一度宮田に聞き返そうとするも、それを邪魔するかの様に関西弁の男こと千堂武士が一歩の肩に片腕を乗っける。
「もしかして自分、幕之内に会いに来たんかぁ?」
「…別に」
その手を退けろ。と、言わんばかりの視線を宮田は千堂に向ける。
その視線を気にも止めていないのか、千堂は一歩により密着する。
「それよりやぁ、幕之内ぃ。はよ、ワイとロードワーク行こうやぁ」
「…せ、千堂さん」
流石に恋人の宮田の前で密着してくる千堂に、慌てたのか一歩は必死で押し返す。も、その抵抗は虚しく体重をかけてきているであろう千堂に一歩は押し返す事ができない。
そんな、困り果てた顔をしている一歩を見た千堂が口元をニヤリと緩めたのを宮田は見逃さなかった。
「やめてやれよ、嫌がってんじゃねぇか」
「はぁ?何言うてんねん。なぁ、幕之内、嫌っちゅう事はないやろ?」
「え、!…いや、それはですねぇ」
「なんや!嫌なんかっ!」
「…い、嫌ではない、ですけど…」
元々、押しに弱い一歩が千堂のペースに飲まれるのは分かりきっていた事だ。
「ほらみぃ、嫌や言うてへんで」
けれど、そこは押し通せよ、と宮田は僅かに苛立ちを感じる。
これ見よがしにニヤリとまた口を緩める千堂を見た宮田は軽く舌打ちをし、
「なら好きにすればいいんじゃねぇの。」
と、一歩に少しキツく言い放つ。
そんな宮田の言葉に「しまった」と慌てる一歩だが、スタスタと早足でジムを出て行こうとする宮田を止めに入る。
「ま、待ってよ!宮田君っ!」
千堂がいる手前、付き合っている事をそう簡単に口にできない一歩は必死で何か呼び止める内容を考える。
けれど、一歩の事なんておかまいなしに、宮田はジムから出て行ってしまった。
一歩の呼びかけにも反応せず、ジムから出て行ってしまった宮田を見た千堂は一歩の隣で「幕之内ぃ、あんな奴気にする事ないでぇ。放っとき」と軽く舌打ちする。
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