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事件にしおりをはさみました!
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事件
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事件が起こるなんて、誰も思ってないだろう。しかも、あの状況で。
まあ、言ってしまえば、俺があろうことか、男にお持ち帰りされそうになった事件である。
誰も思ってなかったし、言うなればこれのおかげ?でガクのことを意識し始めたと言ってもいいのだけど、まさかと思うだろう。
だって、俺の見た目は完全に不良だし、合コンと言ってもご飯食べに行っただけだし、しかもよりにも寄って、女の子ではなく、野郎に持ち帰りされるとは思ってなかった。
でも、今は反省したから言うけど、あれは半分以上、自業自得ってやつだ。
それにしても、だ!
あれはそもそもナリヤが一緒って聞いたから、俺も行くって言ったんだ。
なのに……
「聞いてないけど?」
「はぁ?!」
「だから、そんなこと俺は聞いてない。合コンに誘われてないし、そもそも、俺はそいつのこと知らない」
と、まあ、こんな感じで俺は騙されて参加したんだ。
後からきいたけど、そいつは俺がナリヤの名前を出せば参加してくれるだろうと思ったらしい。
その男の友人が元々そっち系のやつで、俺のこと写真で見て気に入っていたという話を後に聞いた時は、死ぬほどビビったけど。
とにかく、合コンなのに、俺は何故かバンバンと酒を飲まされたんだ。
「え〜、ねえ、永沢くんは何で合コン参加したのぉ〜?」
いかにも頭が悪そうな女の子は、酒が入ったからか元々舌足らずなのが、さらに舌足らずになっていて、俺のことを誘った今になっては名前も知らない同じ学科の同い年の奴が、その子のことを完全に狙っていた。
だからか、その子が話しかけてきた時、そいつは俺に余計な気を引くようなことを言うなよ、と言わんばかりの視線を送ってきた。
だけど、残念ながら、俺はその視線に答えられるほど頭が正常では無かったし、そもそもこれくらい答えないとこの場の空気が悪くなりそうだった。
「こいつに誘われたの」
それでもそこで食べたご飯は美味しかったし、合コンとかじゃなくて、今度ナリヤあたりと食べに来たいと思えるところだったから、一応恩返しのつもりで、俺を誘ったやつの株を上げてやることにしてやった。
「俺は、基本合コン自分から開かないから、美味しいところ知らないけど、こいつはよく知ってるから」
たぶん。
「へぇ〜、溝口くんって美味しいところ知ってるんだぁ〜。」
そこからその子とそいつ(溝口)は良い感じ。二人で抜け出そうとか考えてるんだというのが見え見えな感じ。
俺は勿論このまま終わって帰るつもりだった。
そう、つもりだったんだ。
なのに、なんで……
場所は二人(溝口と女の子)抜けた人数でのカラオケである。
「だから!俺は、行かない!!」
「付き合い悪いぞ〜永沢〜」
そう、こいつ。
こいつが、俺のこと食おうと考えてたやつだ。
名前は…
「おい、柳瀬、こいつそこまでして誘わなくて良くね?」
そう、柳瀬とか言ったな。
ガクは、柳瀬という名前を出すと今でも不機嫌になる。
柳瀬は巷じゃ有名な遊び人らしく、合コンでは必ずホテルに連れていき、すぐにポイするような、極悪人だ。
俺は、二次会なんて行く予定なかったから、渋ってたら、柳瀬がやたらと引き留めてきた。
「だって、永沢いないと人数合わないだろ?」
それを、その時合コンに一緒に参加していた誰か(名前は忘れた)が、宥めようとしてくれたのだが、柳瀬は引き下がらなかった。
「いいじゃん。別に必ず男女ペアで話さなきゃいけないってわけじゃないんだろ。しかも、俺、今回の合コンで気に入った子いないし」
まだ美味しいお店ならともかく、カラオケなんて絶対行かない。
それは、言葉にしては出ていかなかったらしい。
そんなことで、俺はフラフラとする足に鞭を入れながら、何とか家に帰ろうと歩き出した。
他のメンバーはちゃんとカラオケに入ったことを確認している。
こんなフラフラしている姿を見られたくない。というか、目が開かない。
その変なプライドがこの後に起こることの要因となる。
カラオケは、駅まで少しだけ離れていたから、歩いて駅まで行く必要があった。そもそも、どこかで見たことある駅だな、と思っていたら、ここは新歓の時の居酒屋がある駅だった。
カラオケから駅までの道は大通りを行けば良かったんだけど、もしかしたら、知り合いがいるかもしれないと思い、こんな姿見られたくないと思ってしまったのが、運の尽きだ。
俺は、わざわざ人通りの少ない住宅街を歩いていくことにした。
家、家、家、家。
たまに、公園。
街頭があるだけ。
歩いている人は俺くらいだった。
でも、本当はこの時、俺の後ろから足音が二つしていたことに、酔っ払っている俺は気付かなかった。
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